Opinion : リスクとマージンのバランス (2019/11/11)
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携帯電話を、今の SHF31 に機種変更してから、確か 4 年ぐらい。当初はいろいろ割引が設定されていたものの、それが期限切れになって、当初よりも 2,000JPY/month ぐらい高くなってしまった。
それで料金プランやオプションの見直しをかけて、増分を上回る引き下げを実現してみた。といっても当然ながら、なにかしら犠牲になるものは出てくる訳で。
具体的にいうと、音声通話のかけ放題とデータ通信の定額制。もともと、外で動画を見まくる訳ではないので月間データ通信量が 2GB を超すことはなかった。だから 2GB まで定額にしていたけれど、実績からいって 1GB でもいけるんじゃないかと。
だったら、「2GB の余裕」のために割高にするよりも、「たまに 1GB を超えたら、そのときだけ上積みすればよろし」と居直った。現実問題として、月間 2GB 超になったのは 5 年前・入院中の 3 ヶ月ぐらいしかないのだし。
上限 2GB に引き下げたときも、同じことをいってなかったっけか ?
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たまたま身近な事例があったので、携帯電話の料金プランの話を書いたけれど。似たような話は、他にもいろいろありそうな気がする。一般化すると「割安感のために上限に余裕を持たせた結果として、却って割高になっている」とでもいうのかしらん。
もちろん、データ使用量と上限を見比べながらチビチビ使うのは、あまり精神衛生上はよろしくない。だから、自分がそうしているみたいに、実際の利用状況を踏まえた上で、適切な数字を設定するのが吉。
ただ、実情を置いてけぼりにして「安心感」のために上限をやたらと高く設定したり、無制限にしたり、というのもどうなのかなぁと。結果として、無駄な出費につながっているケースもありそう。本人がそれでいいと納得しているのなら、傍からワアワアいう筋合ではないかも知れないけれど。
で。前置きがえらく長くなってしまったけれど、この話を強引に一般化すると、「リスクとマージンのバランス」ということになるのかなと。つまりは「強度マージンを取り過ぎた結果として重くなり過ぎた飛行機」みたいなことになっちゃう。
移動体通信の料金プランであれば。リスクとは、定額制の容量上限を使い切って (速度制限がかかる | 追加容量購入の負担がかかる) だろうし、マージンとは定額制の容量上限と平素の使用量の差ということになる。
もちろん、マージンがある方がいいけれど、ありすぎると月々の出費ばかりが増える。うちみたいに月々の収入が凸凹している身では特に、固定費はできるだけ抑え込みたい。それで携帯電話の料金が真っ先に犠牲になった。
そういえば、別のところでも似たような話がある。お出かけするのに、ダイヤ乱れなどのトラブルを見込んで早めに出る。これは多くの人がしていることだろうけれど、「早めに出る」の度が過ぎると、早く着きすぎて時間を持て余す。個人的あるある。
似たような話で、空港に早く着きすぎて時間を持て余すパターンが国際線で常態化しているけれど、これは許容範囲。乗り遅れたり、ギリギリになって走る羽目になったりするよりは、ずっといい。
自分の責任じゃないところの原因で、遅れたり走ったりする羽目になるのは、また別の問題ということで。
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「リスクとマージンのバランス」といえば。国防の世界でも、まるっきり無縁な話じゃない。なぜなら、脅威と天秤にかけながら戦力の所要を割り出す場面で、マージンの上積みに上積みを重ねると、戦力所要がどんどん増えてしまって際限がなくなる。
困ったことに、「これだけあれば大丈夫」と断言できる人はどこにもいないから、「それで大丈夫なの ?」と訊かれたときの反論が難しい。結果として、歯止めがききにくくなってしまう。もっとも実際には、際限がなくなる前に人的資源や財政がブレーキをかけることが多いだろうけれど。
そういえば、「安全対策」や「災害対策」だって同じ。リスクとマージンのバランスといっても、過去の経験・知見と手持ちのリソースを天秤にかけて、現実的に可能な範囲で落としどころを見つけるしかない。
それでうまくいけばいいけれど、備えを上回る災厄が降ってくると、対策立案・実行の担当者が貧乏くじを引いて叩かれてしまう。(先日の台風 19 号のことを思い出しながら)
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