Opinion : 新年早々から煽られすぎ (2020/1/6)
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普通、年末年始というと大した事件もなくて平穏に、ということが多いけれど、2019-2020 年にかけてはドチャクソな年末年始になってしまった。
「ゴーン逃亡」の方は、専門外だから措いておくとして。イランの一件で、イラン側の宣伝に乗せられて「第三次世界大戦か !?」とパニクる人がいるのには目が点になった。
世界大戦ってことは、少なくとも「イランに中国とロシアが加勢して、アメリカやイギリスと一戦交える」ぐらいの規模を考えてるんだよね ? まさか、アメリカとイランが一戦交える可能性を指して「世界大戦」なんていってないよね ? そりゃ世界が狭すぎる。
Nuts !
頭を冷やして考えてみればいい。イランには、アメリカ本土に手を出せる資産も能力もない。アメリカとて、イラン本国に侵攻してテヘランまで攻め上るなんて無理な相談。戦力面でも兵站面でも、手持ちの能力を超えすぎてる。
あと、「米軍増派」に釣られた人もいそうだけれど、3,000 人とか 3,500 人とかいうオーダーで何いってるんですか。終了。30 万人ならともかく、いまは 1990 年の湾岸危機じゃない。
まあ、「世界大戦」は煽り過ぎとしても、アメリカとイランが一戦交える可能性ぐらいだったら、皆無とはいいきれないかも知れない。ただ、イランにしてみれば、取り得る選択肢は意外と限られていないだろうか。一戦交えても勝てなきゃ意味がない。
ここで「ホルムズ海峡封鎖」なんていったら、「ほらみろ、やっぱり艦艇派遣が必要だ」ということになって藪蛇。第一、アメリカだけじゃなくてその他の諸国まで敵に回すことになりかねない。本来なら逆に、「これはイラン対アメリカの問題」ということにして、その他の諸国には埒外にいてもらいたいところじゃないのかしらん ?
では、アメリカ本土でテロを仕掛ける選択肢はどうか。正規軍を攻め込ませるのは空想小説のネタにもならないけれど、若干名の要員を送り込んで事件を起こすぐらいのことなら、まだしも現実的。
でも、それぐらいのことは当然ながら DHS も考えるだろうし。すると、この先しばらく、アメリカの入国管理や空港の保安検査は通常より厳しくなるかも知れず。それに、ここでアメリカの一般市民を標的にするのが賢明な選択肢か、なんてことも考えてみないといけない。
現実的に取り得る選択肢は、中東各地にある米軍施設に対する攻撃だろうけれど。これも場所を選ばないといけない。バーレーンの第五艦隊司令部とか、カタールの空軍基地とかいうあたりにちょっかい出したら、それらホスト国まで敵に回してしまう。
そのことと実現可能性を考慮すると、代理組織を鉄砲玉に使ってイラク国内でやらかす方が、現実的な選択肢じゃなかろうか。なんてことを考えていたら、「ケニアの米軍基地が攻撃された」というニュースがあったようだけど、そういう話よね。
だいたい、ここで「第三次世界大戦か !?」と大騒ぎすること自体、宣伝戦に乗せられてるとしかいいようがない。皆さん、あまり意識していないかも知れないけれど、ネット上の喧々囂々・侃々諤々は、これ宣伝戦の戦場、という見方もできるのだ。
そこまで大上段に振りかぶらなくても、そもそも「煽る人は、その方が商売になるから煽る」んである。電車の中吊りで宣伝してる週刊誌の広告をご覧なさい。「大変だー、大変だー」と煽った記事の中で、どれだけが実際に的中したのか。
そんなのにいちいち反応して「きゃー大変だ」と大騒ぎするヒマがあったら、美味しいものを食べて一杯飲んで寝てしまおうよと。そう申し上げたい。こちらは新年早々から風邪をひいてしまったようなので、一杯飲む代わりに風邪薬を飲んで寝るけど。
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