Opinion : "抜き打ち引退" はどうだろう ? (2020/2/10)
 

TEC 700 系のラストラン列車が指定券の発売日になったら、1,323 席が瞬殺。その後、続々とヤフオクに指定券が出品されて、しかもその中には EX 予約の規定違反じゃないの、なんてものまで含まれている模様。

おそらく、メルカリにもゾロゾロ出ていそう。

国際線の航空券だったら、パスポート情報と紐付けられていて、搭乗時にゲートで本人確認した上で搭乗券を読み取らせる。だから、購入後の航空券を別の人に売るわけにも行かない。

でも、鉄道だとそういう「切符と個人を明確に紐付けてエビデンスを確認する」仕組みがないから、転売された切符を買って乗ることを阻止するのは、物理的に難しい。

だいたい、転売でプレミアムがついても得するのは売主であって、JR 東海には一銭の得にもならないのが腹立たしい。根本的には、切符の類をヤフオクやメルカリで一律禁止にするべき、と思うのだけれど。

「転売ヤーから買うやつがいるから悪い」というのは正論。でも、他人の意思のことだから、完全にコントロールして転売ヤーを干上がらせるのは、たぶん無理な相談。それがまた腹立たしい。


ラストランとなれば乗車希望が殺到するだろうから、確実に指定券がはけるし、さらに撮影だなんだでやってくる人もいる。中の人にしてみれば、ちょっとした (?) 商機になるだろうと期待するのは分かる。

1,323 席×15,000JPY で概算すると 19,845,000JPY と出たから、この金額は確かに小さくない。しかも、行けば帰るのだから復路の分も加算すると、単純計算で二倍。

しかしどうなんだろう。北海道新幹線や北陸新幹線の開業初日に東京駅の新幹線ホームがどんな有様になっていたか見ている身からすると、警備だなんだで、見えるコストと見えないコストが、それなりに発生しているんじゃないかとも思える。コストだけでなく、リスクも。

ラストランで大騒ぎというと、営団 6000 の事例が記憶に新しい。でも、これに限らず大都市圏では往々にして、「初物」と「最終物」では大騒ぎが起きている。それについて見聞きする度に、「もうラストランなんてやめちゃったら」と思ってしまう。

といっても、いったん出庫して運用に入ったが最後、あっという間に情報が拡散するのは目に見えている。すると、早朝だけ走らせる、あるいは途中で「抜き打ち車交」とでもしないとダメかも知れない。

新幹線だとそれも難しい。そこで、ちょっと意地悪なことを考えてみると…

まず「ラストラン」の予告はする。ただし日付と午前・午後の別ぐらいにしておく。どの列車に入るかは公表しない。で、当日になってランダムに (なんだったら、コイントスで決めてもよろしい) 充当列車を決める。

買う方はギャンブルになるわけで、当たれば天国、外れればガッカリ。

なんてことを考えてみたのだけれど、どう見ても現実的ではない。たぶん、駄目と分かった途端に払い戻しをかける人が続発しそうだから、窓口が大混乱になってしまうのがオチ。それでは違う種類の混乱を作ってしまう。


となるとやはり、「○月○日の○○列車で最後です」と事前に予告するのを避ける、という程度しか思いつかない。せめて日付だけにしておく。そして、運行する時間帯はなるべく早めにする (情報が拡散する頃には終了)。

なんでこんなことまで考えてしまうのかといえば。ひとえに、「ラストランに群がる人によって引き起こされる混雑と混乱 (と、ときには怒号) が、一般のお客さんからすれば看過し得ないレベルになってきてるんじゃないか、と思えるから。

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