Opinion : 在宅勤務と業績評価手法の関係 (2020/4/27)
 

COVID-19 に絡む話ばかり書いていると、書いてるこちらまで気が滅入ってしまいそうだから、そろそろ別の話題にしたいもんだ。と思いつつ、なんとなく関連する話題に手を出してしまった今週のバージョン。

で、お題はテレワーク。フリーランスの物書き業にとって「自宅で仕事をする」のは既定値だし、同居人がいるわけではないので、事実上は職住近接どころか職住同居。リゲインみたいに 24 時間戦ってるようなところがある。

でも、自宅から仕事場に「出勤」して、仕事が終わると「退勤」して自宅に戻る生活をしている人にとっては、勝手が違いすぎて、本人も、(いれば) 同居している家族も、いろいろ大変じゃないかと思う。


まあ、その「家の中での過ごし方」については措いておくとして。ひとつ思ったのは、業種や業態だけでなく、仕事に関わる評価の仕方も、在宅勤務との親和性の良し悪しがあるんじゃないかなあという話。

「成果主義」の下、半年ごとに、自分でゴールを設定しては、それを達成できたかどうかを上司と膝詰め談判して評価する。そんな生活を何年か経験した後でフリーランスになってみたら、「大して変わらないなあ」というのが正直なところだった。

適切に運用されている成果主義の下で仕事をしたことがある人は、そうでない人よりもフリーランス生活に適応しやすいと思っている。

ただ、スパンは短い。極端な話、ひとつの仕事ごとに「ゴールの設定」と「評価」が発生している、というのが正直なところかも知れない。これは物書き業に特有の性質かも知れないけれど。

そこでは、「仕事をしているという姿勢を見せたかどうか」は問題にされない。アウトプットがすべて。アウトプットの質が良くて評価されれば、次につながると期待できるし、逆なら「それっきり」となる。

そういう稼業だから、アウトプットを出すことにだけ専念していればいい、否、そうしないといけない。形式的な部分は極端なことをいえばどうでもよくて、結果が出るかどうかがすべて。こういう仕事の仕方だと、たぶん、自宅勤務との相性はいいと思う。

自分の場合「自宅勤務」だけとは限らなくて、「車内勤務」とか「機内勤務」とかいうのもあるけれど (それは勤務っていうのか ?)。あと、遠征先の海外までゲラが追いかけてくることもある。

でも、原稿を受け取る側や、それを読んでくださる読者の皆さんにしてみれば、大事なのは中身であって、その原稿がいつ、どこで書かれたかは問題じゃない。自宅とは限らず、近所のスタバかも知れないし (おっと、今は休業中だ)、新幹線の車中かも知れないし、国際線の機上かも知れないし (おっと、今は海外渡航はできないか)。でも、「そんなの関係ねぇ」。


逆に、「アウトプットの良し悪しとは別に、仕事をしているという姿勢を見せないと評価されない」という仕事の形… というより評価の形か。そういうやり方をしているところだと、自宅勤務になった途端に「仕事をしているという姿勢が可視化されない」という問題が勃発しそう。

個人の勝手な偏見かも知れないけれど、遠隔勤務ならぬ遠隔監視ソリューションみたいなのに飛びつきやすいのは、そういう組織なんじゃないのかなぁ、と。そうなるともう、結果が出るかどうかは、問題ではなくなってしまいそう。「仕事をしているという形」を守らせることが目的になってしまってね。

あれ、なんか聞いたような話だなと思ったら、あれだ。前に書いた「なぜ外出自粛の必要があるか」という理由がどこかに行ってしまって、外出している人や営業しているお店を叩くこと自体が目的になってしまう人。それと同じだ。

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