Opinion : 「とりあえずハード」は怪我の元 ? (2020/5/11)
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自分は自宅で仕事をするようになってから 20 年あまり経過しているから、「自分なりの仕事のスタイル」ができあがってる。ただ単に自宅にこもりっぱなしで仕事をしていると、いろいろ良からぬ影響があるのも分かっているから、適宜、息抜きあるいは気分転換を入れるコツも把握してるつもり。
でも、そうではなくて、かつ、ロクな準備期間もなく、いきなり「自宅で仕事をしろ」といわれたら、大変だろうなぁと思う。まったくの他人事ではなくて、身内には会社員もいるから、そちらはやはり同じことになるわけだけど。
たとえば仕事用の環境を整えるにしても、そのためのハード/ソフトを揃えるにしても、あるいは実際に仕事をする上での作業フローを確立するにしても。どれをとっても、「どういう風にやるか」が分かっていないと、どういうハード/ソフトの準備や環境整備が必要なのかが分からないんじゃなかろか。
つまり CONOPS (Concept of Operations) が明確にならないと、道具立てを整えることもままならないということ。結果として選択を誤り、後から軌道修正を余儀なくされた… そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるのでは。
たとえば。仕事用に PC を買います、となったときに。勤務先から支給されるにしろ、自腹にしろ、使える予算には限りがあるはず。設置スペースという問題もあって、リビングルームの食卓で仕事を余儀なくされるのに、どでかいデスクトップ PC を据え付けるわけにも行かない。
つまり、ただ単に性能がいいものを揃えればいいって話ではなくて。譲れるところと譲れないところを明確にして、使えるリソースの範囲内で、どこに重点配分するかを考えないといけない。
でも、譲れるところと譲れないところを明確にするには、仕事をする上での状況というかシナリオというか、それが分かっていないと始まらない。
分かりやすいところだと、「字を書くのがメインの人はキーボードが大事、画を描くのがメインの人はそれ用のデバイスが大事、写真を扱うならカラーマッチングまで考えないとあかん、とかなんとか。
実のところ、「どこに重点を置くか」問題がもっとも出やすい個人レベルの買物といえば、クルマかも知れない。
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ハード/ソフトの整備もさることながら、作業フローというか、仕事を進めるためのプロセス確立が最大の難関かも知れない。ミリタリー業界でいうところの TTP (Tactics, Techniques, and Procedures) みたいなものかも。
それに、仕事である以上は、情報の保全、データの保全をどうするかという問題もある。外部から職場のネットワークにアクセスする場面は必須だろうから、不正侵入対策だって考えないといけない。
この辺の話もまた、仕事のプロセスが明確になっていないと、皆目見当がつかない、なんてことになりそう。ゼロから始めれば試行錯誤は不可避か。
これを書けるのはいまのうちだから書いてしまうと、そのうち「テレワークに起因するセキュリティ インシデント」とか「テレワークに起因する情報漏洩事案」の一件や二件は、起きてしまうんじゃないだろうか。そうならないに越したことはないのだけれど。
それで何をいいたいのかというと、ハードウェア先行型、つまり「とにかくモノを買うことから始める」でええんかいな、ということ。未経験なら分からないことがいろいろあるのは仕方ないにしても、それなりに、まず仕事の様態、シナリオを想定してみないと。
「まずカタチから入る」なんて言葉もあって、とりあえずハードウェアを揃えてから、どういう風に運用するかを考える、という場面は「あるある」。自分にも身に覚えはあって、カメラ機材の陣容が確立して「自分に何が必要か」が分かるまでには、ずいぶんと回り道したような気がする。
でも、これが自分の身辺だけで済む問題、自分がいくらか (えっ ?) 余計な支出をすれば済んだ問題ならともかく、国の護りがかかっている場面で同じことをやるのは勘弁して欲しいなぁ、と思ってみたり。
まずは「どうやって国の護りを実現するか」という話が先にあって、それに合わせてテクノロジーやハードウェアの取捨選択に進むのが、筋論としては正しいんじゃなかろか。「とりあえず性能のいいハードウェアを買っとけ」で大丈夫なの ?
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