Opinion : 危険な新規参入者 (2020/5/25)
 

何か、あまり世間では話題になっていなかった問題に対して、長いこと地道に取り組んでいて。それが何かの拍子に脚光を浴びて、事態がいい方向に進む。それは良いことである。

ところが、そういう事例ばかりとは限らない。ずっと見向きもしていなかった話に対して、何かのきっかけで、いきなり首を突っ込んできたり、参入を表明したり、という話もけっこうある。

そういうのを見ると、「この人 (組織のこともある)、本気でこの件について取り組む気があんの ?」と疑いの眼で見てしまう。


直近の事例だと、「サイバー スペースにおける誹謗中傷」ってやつ。なにも今に始まった問題ではないし、だいたいサイバー スペースでやろうがミート スペースでやろうが、誹謗中傷は誹謗中傷である。やってる場所が問題なんじゃなくて、やってる内容が問題。

ただ、ミート スペースだと影響が及ぶ範囲は限られるけれど、サイバー スペースだと攻撃元の範囲が広くなり、スケールがでかくなるという違いはある。でも、本質的なところは同じ。

なんだけれど、著名人が亡くなった一件に「サイバースペースにおける誹謗中傷」が絡んでいたらしいという話が出た途端に、「対策が必要です !」「規制に向けて声を上げましょう !」なんてことをいいだす人がいると、「は ?」というのが正直なところ。

君ら、少し前に「COVID-19 感染者狩り」「COVID-19 感染者排斥」の話がいくつも出てきたときに、同じこといってたか ? それに限らず、他の事案でも同じこと。著名人が亡くなった途端にいきなりしゃしゃり出てきて、もっともらしく規制の必要性を訴えるなんて、あまりに浅薄すぎないか ?

ちょっと穿った見方をすると。平素に自分らがネット上で叩かれてるもんだから、誹謗中傷予防というお題目の下で、自分らに対する批判的な言動を封じたいんじゃないの。とまで書いてしまうと、ちと猜疑心の度が過ぎるだろうか。

だいたい、「誹謗中傷は怪しからん !」といっている個人や組織が、自分らが気に入らない対象に対しては罵倒の限りを尽くしてる、なんてコントみたいなことも起きる。「誹謗中傷防止」という美辞麗句に隠れて「言論封じ」を企んでた、なんてことになったらどうする ?


手厳しいことをいえば。「トレンドだから」といって、いきなり参入してくるような個人や組織は、それがトレンドでなくなったら、スーッとどこかに消えてしまう。そしてまた、別の分野で同じようなことの繰り返し。

ただし難しいのは、この手の「支持集め (政党の場合)」あるいは「商売の種 (企業の場合)」が目的で、そのとき、そのときの流行りの話題に便乗するケースがすべて。とは限らないこと。

中には、「これまで見落としていたけれども、話題になったり事件が起きたりしたことがきっかけで必要性を認識して、真剣に取り組むようになった」なんて事例も、あるかもしれない。

そういう事例と、瞬発的にトレンドを追うだけの事例を、どうやって区別するか。たぶん、「ここを見れば確実」というインスタントな識別ポイントは、ない。だから、明確で具体的な話からは遠ざかってしまうことを承知で書くならば。それはたぶん、「華々しさ」「ウケやすさ」の度合にあるんじゃないかと思う。

つまり、いかにも相手が喜びそうな、口当たり・耳当たりの良さそうな話を並べて「私はあなたの味方ですよ〜」「私は正義の味方ですよ〜」という雰囲気を振りまき、受け手に媚びを売る。そういう個人や組織はヤバいんじゃないか、ということ。

単に、「後は野となれ山となれ」でトレンドが変わった途端にスーッといなくなってしまうだけでも十分に傍迷惑だけれど、口当たり・耳当たりのいい話の裏側に、とんでもない野望を潜ませていたりすると、もっと迷惑な話。

そういうのをきちんと見抜いて封じ込めないと、もっと厄介なことになってしまうと思う。

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