Opinion : 飛行機には力がある (2020/6/1)
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何年か前に、BREITLING JET TEAM が小名浜で飛ぶというのでクルマを飛ばして駆けつけたら、悪天候で空振りに終わったことがあった。返す返すも残念だけれど、お天気には逆らえない。
L-39 というだけなら、後で MCAS ミラマーに行ったとき、Patriots Jet Team による頭のネジが飛んだフライト (これは褒め言葉である) を見て大満足したけれど。いやあ、あのローパスといい、テンポのいい演技といい、凄かった。また見たい。
ローパスだと上を向かなくても観られるけれど、展示飛行というのはたいてい、上を見るものである。
飛行場の近くに住んだり、仕事をしたりしていれば、頭上を飛行機が飛んでいるのは当たり前だから、いちいち意識はしない。せいぜい、「普段と違う音がするなー」→「珍しい機体が来たよキャアアアア」というパターンぐらいかしらん。
でも、普段は飛行機が身近でないところで住んだり、働いたりしていると、頭上を飛行機が飛ぶというだけで珍しくて、音がするとついつい頭上を見てしまう。という人は少なくないと思われる。
そもそも飛行機というヴィークル、生身の人間には絶対にできない「空を飛ぶ」という機能を実現しているというだけで非日常性があるし、それが舞い上がったり動き回ったりするシーンにも、なんとなく人の心を引きつけるものがありそう。
こればかりは、自動車や鉄道には真似できないのだよねえ… いやまあ、電車がアクロバット走行なんかやったら、それはそれでおっかないけれども (←
あ、「複線ドリフト」という突っ込みはなしでお願いします。
(ま、まさか「医療従事者の皆さんに謝意を表明するために、ドクターイエローが (検測なしの) 特別走行を」って訳にも行かないしなぁ…)
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だからこそ、たとえば成田の「さくらの山」あたりに行くと、単に「飛行機を眺めに来ている人」が集まるんじゃないかと思う。自分も含む、望遠レンズ付きのカメラを振り回してるような人、ばかりではないのだ。
ことに国際空港だと、単に「飛行機を眺める」だけではなくて「まだ見ぬ異国への思いを馳せる」という要素もありそう。さまざまな国の、さまざまなエアラインの機体が、それぞれ趣向を凝らしたマーキングで飛んでいるわけだから。その異国に向かう手段という部分も含めて、ある種の「ハートを動かす力」ってあると思うわけ。
とかいう小難しい話は抜きにして。気が滅入って、ついつい俯きがちになってしまっているときに、ふと頭上を見上げるきっかけがあるだけでもいいじゃないの。とシンプルにまとめれば済む話だったのだ。
最近、あちこちの国でやっているフライオーバーの本質的な部分は、たぶん、その辺にあると思う。もっとも、こういうイベントが成立するのは「平和な空」だからであるにしても。
それにアクロバットチームともなれば、緊密な編隊をピタリと維持しながら編隊機動をやってみせるわけで、これだけでもひとつの「見所」として成立する。(あまり話題にならないけれど、艦艇の陣形運動も同じ意味ですごい)
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