Opinion : 問題の切り分けはちゃんとやろうよ、という話 (2020/9/7)
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米軍では AAMDS (Aegis Ashore Missile Defense System) と書くこともあるので、ここでも AAMDS と書くことにして (その方が短くていい)。
もしも機会があれば記事としてまとめてみたいネタだけれど、その前段ということで、最近の一連の動きを見て思ったことを、つらつらと書き並べてみようと思った。
まず、AAMDS の導入そのものは間違っていないと思っている。いわゆる「24/7」(一日に 24 時間、週に 7 日の意) で常続的に監視・交戦ができるソリューションは他に存在しない。しかも、運用にかかる人手が少なくて済むのも大きい。
ただ、その導入・配備を実現する過程で、どうもこう「政治的力学やお役所の事情が優先したんじゃないか」と思えてならない動きがあり、そこに仕事の進め方の雑さが加わって、話をぶち壊しにした感がある。
で。いったん話がぶち壊しになると、AAMDS そのもの、あるいは導入の経緯がお気に召さない人が出てきて、「それ見たことか」といわんばかりにあれこれ書いたり話したりしているわけだけれど。なぜそれを最初にいわない。
もちろん、批判されるべき話はいろいろあるのだけれど、切り分けがちゃんとできていないと、批判のための批判になってしまう。昨今の状況を見ていると、叩けるものなら手当たり次第というところがある。問題の切り分けがちゃんとできている論考は、あまり見かけないように思えるのだ。(自分の目に入っていないだけという可能性はあるけど)
ダメ押しになったのは、ブースターの件で「できもしない空約束」をやってしまった件だと思う。もっともこれ、空約束というと言い過ぎで、希望的観測に基づいたら結果的に空約束になったという方が実態に即しているのかも知れないけれど、それはそれとして。
どうしてブースターの件で (結果的には) 空約束をする羽目になったのかといえば、それは立地の問題があるから。では、どうして立地の問題が生じたかといえば… と、そこまで突き詰めなければいけないのではないか。これもまた問題の切り分け。
さらに、「叩けるものならついでに叩け」なのかどうか知らないけれど、極超音速飛翔体への対処能力云々、なんて話も出てきている。これとて、関わる諸要素はいろいろあるのに、ひと絡げにして「対処能力が (ある | ない)」だけで論じるのは雑すぎる。問題の切り分けができなければ解決策は出てこない。
なにも AAMDS の件に限ったことではないけれど、何かを叩いたり批判したりするのに「問題の切り分けができてない」ケースって、ままあるように思える。叩く側は問題の切り分けができておらず、そこに張り合って擁護しようとする側も釣られてしまう。結果として、枝葉末節の叩き合いにもつれ込んでしまい、最後はレッテル貼りや罵倒合戦で終わる。どっちにしても、いい傾向ではない。
AAMDS の件がゴタゴタして、結果として BMD の体制整備が遅れて、海自のイージス艦が BMD に張り付けられて負担軽減にならず、しかも「護衛される艦」が増えてきているのに防空艦のリソースが足りない。そんなことになったら、喜ぶのは北京だけである。
雑な仕事云々は印象論だから措いておくとして、とりあえず「問題の切り分けはちゃんとやろうや。そうしないと解決にならないよ」とはいいたい。
といったところで、最後に脱線 (鉄道話だけに)。
しばらく前から、ときどき「GV-E400 の走行性能が云々」という話が流れてくるのだけれど、もちろん人によって見方はさまざま。ただ、「鈍足説」を主張するのは、ちょっと慎重になった方がいいんじゃないかと思うことがある。というのは、これもまた「問題の切り分け」が必要だから。
たとえば、加速がどんくさいと感じたとしても、果たして営業列車が全力・全開加速をしているのか、ということから考えないといけない。車両が変わってもダイヤが変わらなければ、必ずしも全開加速しないといけないとは限らない。
趣味的見地からすれば「新型車両が入ったのなら、性能を活かしてスピードアップすれば」と思ってしまうのだけれど。では、それが実現可能なのか、可能だとしても、どういう影響があるか。そこまで考えないといけない。
あ、こんなこと書くと、またぞろどこかから「鉄道報国隊が当局の弁護をしている」って叩かれるかな (ぉ
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