Opinion : ちゃんと自分の頭で考えよう (2021/1/4)
|
昨年、「なんでもとりあえず、ハードウェアという形を整えれば問題が解決した気分になってしまうのでは」という話を書いた。その観点から見ると、COVID-19 対策も「形を整える vs 実効性のある対策」のバトルになっているように思える。
これを書いているとき、ちょうど「緊急事態宣言をもう一度、発出するかどうか」でスッタモンダしているけれども、ただ単に宣言だけすれば良いというものじゃない。
感染症が広まる原因があって、その原因を絶つために何かしらの施策が必要。でも、その施策を実行に移す、あるいは有効に機能させるには緊急事態宣言が必要。それなら分かる。
でも、結局のところ、国民ひとりひとりが「原因を絶つ」ための行動をとるよう求められるわけで、それを無視して「緊急事態宣言さえ発出すれば感染者が減る」と思っているのなら、大間違いのこんこんちき。ウィルスが宣言を聞いて自重してくれるわけじゃない。
飲食店の営業時間短縮だって同じことで、単に時間を短縮すれば問題が解決するわけじゃない。とどのつまり、そこを訪れた人がどういう行動をとるかが問題なのだから。へたしたら、営業時間が短くなった分だけ人の密度が上がって逆効果、なんてことになるやも知れず。
え、「緊急事態宣言を出せば危機感を喚起する効果はあるだろう」って ? いや、それは相手次第。自分のおつむで何も考えていない人が、宣言ひとつで注意喚起されるなんて考えられない。
高速道路の SA・PA でトイレに行ったときに周囲の人を観察してみると、雑な手洗いしかしていない人が散見されるけれども、これだって「分かってないんじゃないの ?」の一例。(女性用の方は見てないから知らない)
「緊急事態宣言」にしろ「GoTo キャンペーンやめろ」にしろ、インスタントな「魔法の杖」をひと振りすれば問題が解決する。対策に見えそうな形さえつければ問題が解決する。そういう思い違いをしている人が少なくないように思える。
もっとも、「GoTo キャンペーン叩き」は身も蓋もないことをいってしまえば、「政府与党のやることには何でもイチャモンつけないと納得できない」が現出したものだと睨んでいるけれど。
もうひとつは、「旅行」に対するイメージの差だろうか。会社勤めをしていないせいもあり、いわゆる「団体旅行」を最後にやったのはいつだったか、まるで思い出せないのが自分の実情であったりする。
一人でホイッとお出かけするパターンばかりという身にしてみれば、「旅行 = 団体で移動して夜は大宴会」というイメージは全くないのだけど。でも、ことに年齢層が上がると、そういうイメージしか持っていない人は少なくなさそう。
あと、COVID-19 がらみで思ったのは「両極端に振れる」と「長期戦が苦手なのね」の二点。
「緊急事態宣言」といわれれば、とりあえず食い物のパニック買いをやって自宅に立てこもる。それで外部との接触は絶てるかも知れないけれど、パニック買いのために長々と行列してたら意味が薄れるような… それに、家庭内での接触だって気にしないといけない。
「公共交通機関は危ない」といって自家用車で移動して、その車内で騒いでいたり内気循環にしていたり、となれば、もはやギャグである。そんなスットコな人が、どれだけいたかは分からないけれど、いても不思議はなさそう。
一方で、「GoTo キャンペーン」といわれれば、途端に人の集まるところに繰り出して混雑を生む。「勝負の○週間」といわれれば、とにかく短期決戦でケリがつくんだと思ってしまい、それでケリがつかないと叩きに行く。あのさぁ…
どうして「ほどほどのところで妥協点を見つけて、日々の生活の平常化と感染対策の両立を図り、それを粘り強く続けることができないの ?」と思ってしまう。
自分でコントロールできない領域のことでブーブーいうヒマがあったら、自分でコントロールできる領域でやるべきことをちゃんとやる。そういうものでは。
|