Opinion : "空気" に頼る方法の危険性 (2021/3/8)
 

東京都の「緊急事態宣言」とやらが延長になるらしい。もっとも、だからといって自分も行動に何か変容が生じるかといえば、そんなことはないと思う。

そもそも、もともと自宅で仕事をしているのだから、「急に在宅勤務になってドタバタ」ということはない。ただ、取材がやりにくくなったとか、国会図書館に行きにくくなったとかいうダメージは食らっているので、#ところでCOVID19は滅ぼされなければならない


「緊急事態宣言」。一定の条件が満たされれば解除になるのが筋ではあろう。条件が満たされないから解除にならない、なら分かるが、これがもしも「条件は満たされたけれど、解除にならない」となったら、どうなるか。

あるいは、解除のための条件がハナから明示されていないとか。

この手の、何かしらの制約が生じる案件にしても、あるいは病気や怪我で入院させられる件にしても、条件が満たされれば終わる ! という目標があるから頑張れるところがある。条件が明示されなかったり、条件が満たされているのに終わらなかったりすれば、心が折れても不思議はない。

そこで東京都などの動向を見ていると、「解除したときの反動が怖くて解除できない」ようにも見える。そう思いたくなるのも、分からなくはない。

自分のまわりから、「大勢で集まって、大声で駄弁りながらメシを食っている高齢者」なんて話が聞こえてくると、ねえ。そういう話を見聞きする一方で「高齢者を護るために若い人達は自粛してください」なんていわれれば、理屈の上ではともかく、感情の部分で納得がいかなくなるのは分かる。

もっとも、若い人でも何かのきっかけでタガが外れてヒャッハーしてクラスタを作ってしまう人はいるようだし、要は年齢層の問題というよりも、一人一人の心がけの問題なのだろうけれど。

そういう現状がある以上、「緊急事態宣言という看板を引っ込めることで、またぞろタガが外れる輩が出てくるのは怖い」となるのだろうなぁと。いってみれば、タガを外させないための、"空気" を作るのが緊急事態宣言なんじゃないかと。

実は、終電繰り上げにも同じことがいえるのかも知れない。

もっともこの国では往々にして、その "空気" で物事が動くから、さもありなんというところもあるけれど。

しかも、"空気" が両極端に振れるから、「ステイホーム」といわれれば、自宅に閉じこもらなければならないといって食い物を買い溜めする。少し状況が良くなって GoTo キャンペーンだといわれれば、タガが外れて元の木阿弥。なんだかな。


ただ、この「"空気" を作り出して、それとなく物事を望む方向に動かすための○○宣言」という話が当たっているのだとすれば、それはそれでヤバいようにも思える。

日常の生活に何らかの制約を課すものであれば、明確なゴールを定めて「達成できたら解除」と明確化しないと。そこでゴールが不明確だったり、ゴールを動かしたりということになると、結果としてモラルハザードが起きやしないだろうかと心配になる。

だってそうでしょう。「我慢して不要不急の外出を控えたのに、何も変わらないじゃないか」と思う人が出てきても不思議ではないし、それが「我慢しても無駄じゃないの」に、ひいては「我慢してられっか」になりそうで。

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