Opinion : 国益を損ねるプロパガンダ (2021/3/29)
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以前に自著でネタにしたロシア大使館に続いて、最近は中国大使館が Twitter 上で「宣伝戦になっていない宣伝戦」を展開している模様。
以前には「中国が何かやらかすときには、時間をかけてジワジワと、かつ、それと分からない形で巧妙に工作をやってくるのでは」と思っていたけれど、どうも最近のやり方は粗雑なところが目について仕方がない。
これについては、「結果はともかく、『やっている』という姿勢を本国に見せる必要があるのではないか」「外向けよりも内輪の結束を高めるもの」という見解があって、それは確かにありそうな話。
でも、宣伝戦にとって最大の KPP (Key Performance Parameter) って「それをやることによって、どれだけ自国への支持が上がったか、あるいはせめて不支持が下がったか」ではないのかなぁ。支持はそっちのけで、戦う姿勢を見せた方が評価されるというのであれば、そりゃ評価の尺度がおかしい。
これが、(比較の問題として) 宣伝戦が下手くそな我が国の仕業であればともかく、そうじゃない。
だいたい、「超限戦」という言葉を持ち出して、「あらゆるものが手段となり、あらゆるところに情報が伝わり、あらゆるところが戦場になりうる」とブッた当事国は中国である。その中国が、あまりにも見え透いた、雑な宣伝戦を展開するとは、想像の範囲を超えていた。
Type 052D が晴海に入港したときには「災害被災者お見舞」の横断幕を掲げていて、あれで多少なりとも好感度は上がったかも知れない。でも、それをさらなる戦果拡張につなげたかといえば、そういうわけでもなく。なんかチグハグ。
そこでさらにやるべきは艦内一般公開でしょ !! (机ドン)
HMS Albion が晴海入港時の一般公開で、英国海軍に好意的な人をどんだけ増やしていったか、知らなかったわけ !? (再び机ドン)
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以前におおいに話題になった、「駐英大使の劉暁明が、ふしだら人妻アカウントの脚フェチ動画に『いいね』しちゃった事件」にしても、うまいこと逆手にとればいい宣伝になっただろうに、真正面から逆ギレして逆効果。却って藪蛇になった。
フェイク画像でオーストラリアに喧嘩を売った趙立堅も、セクシー女優やポルノサイトのアカウントをフォローしていたんだそうで。これも同じデンで、「いやあ、タカ派の外交官といえども、根はフツーの人間なんですよ、はっはっはっ」と笑ってごまかすぐらいの度量を発揮すれば、まだしもマシな結果になったのではないか。
そこで逆ギレしてしまうあたり、なんというかその、精神に余裕がないんだろうなあと思ってしまう。もっとも、「逆手にとって、いい宣伝に」というやり方が、かの国で受け入れられないのであれば、仕方ないにしても。
まあ、精神に余裕がなくて、すぐキレ散らかす人は、日本人でもけっこう頻繁に見かけるけれど…
世の中、「自分の推しは完全無欠でなければならない」という、いわゆる「アイドルはウ○コをしない理論」にハマってしまっている人がいるぐらい。ましてや、自分自身のことになれば、「欠点があると認めること自体を受け入れられない」となるのは無理からぬところなのかも。自分の評価や立場を護らなければならない状況にあれば、なおのこと。
でも、その結果として、却って自分の国の評価を下げていることは知って欲しいのだなぁ。いや、こちらとしてはその方がありがたい、というのも本音だけれど。
それに、「自分で自分をネタ化して笑いをとり、それでいて卑屈にならない」のは、実は案外と高等技術。それを自然にやれる大人になりたいと思うけれど、かの国の「戦狼外交官」には、そういう考え方もノウハウもないんだろな。
(逆の意味で、自衛隊の広報なんかはもうちょっと考え直した方がよくないか、と思う部分があるけれど、それはまた別の話)
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