Opinion : 兵器を物理的な破壊以外の手段として使う話 (2021/5/31)
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他国のことはよく分からないから言及しないけれど、ことに日本の場合、COVID-19 は国民の健康以上に、国民の心理を蝕んでいるように思える。以前から感じていたことだけど、騒動が長引くほどに、ますますその感を強くしている。
だいたい、ただでさえ「出口が明確にならない長期戦」があまり得意でなさそうなお国柄じゃないのか、と思えるのに。おまけに相手が病原体となると、目に見えないから「いるのかいないのか分からない」。
そして、ニュースで COVID-19 がらみのネタを取り上げると往々にして、例のキモい映像がワンセット。テレビ番組なら、(よせばいいのに) おどろおどろしい BGM まで付けてきそうでもあるし。まあ、それがテンプレだからやるんだろうけれど。
でもって、前回に書いたように「極端に振れやすい傾向」もあるから、それがさらに心理的ダメージを加速しているんじゃないか。というのが個人的な見解。自分はもともと自宅で仕事をしていたし、適当にガス抜きをしているから、相変わらずの平常運行でいられるけれど。
実のところ、「今の人生は付け足しのおまけみたいなもん」と居直っているのが、平常心を保っていられる、いちばんの原因であるのかも知れない (ちょっと待てコラ)。
さて。目に見えない恐怖が、物理的な面以上に心理的な面でダメージを食らわす事例というと、以前にもあった。原発事故がらみの「放射能」のアレ。
この場合、普段は馴染みが薄かったり、日常的に接しているのに具体的な名前を知らなかったりする元素の名前がドカスカ出てくるから、これも「得体の知れない恐怖感」につながったのではないかと思う。
デマ屋さん、あるいは恐怖感マーケティングを得意とする個人や組織はえてして、そういうところにつけ込んで利用する。そういう傾向があるからこそ、「DHMO ジョーク」が成立しているのでは ?
と、こんな具体例をいくつか見ていたら。CBRN (Chemical, Biological, Radiological, Nuclear) 兵器って、物理的な威力の代わりに心理的な仕掛けをするツールとしても使えるんじゃないか。なんていう、益体もないことを考えてしまった。
「地雷原を作るには、記者会見を一回やればよい」ではないけれども、実のところ、実際に使わなくても、恐怖感をばらまくだけで、意外と人心を蝕む効果は出るんじゃないか。とまあ、そういう話。
ただし CBRN のうち N については、核爆弾を爆発させたら目に見えるから、これは事情が違う。核分裂反応を起こすブツではなくて、いわゆるダーティ ボムの方が、心理戦の手段に向いていそう。
そういえば。なにも CBRN に限った話ではない。最近だと、「中露の極超音速飛翔体」だって、物理的な威力とは別に、心理的ダメージを与える手段として使われている節がある。いわゆる A2AD (Anti-Access Area-Denial) にしても同じところがあって、だからこそ、米軍で「A2AD という言葉を使うな」なんてお達しにつながったのではないかと。
するとその前に、「こういう風につついたら、相手の国はどう反応するか」という研究をする必要がある。釣るためには、まず相手の釣られ方を知らなければならない。
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歴史をひもといてみると、かつてのソ聯で、爆撃機の数を多く見せかけるために同じ編隊に何周もさせた (見えないところで折り返させる) なんて話があったけれども、これも「心理的効果」をうまいこと利用しようとした一例。
もちろん、口先だけだとバレたり、数が少ないのがバレたり、能力や機能に劣る点があるとバレたりすれば、効果がなくなってしまう。すると、バレにくい上に恐怖感を煽りやすいという点ではやはり、CBRN 系のアイテムの方が「心理を蝕む効果」を期待しやすいのかも知れない。
実際にやるかどうかは別として、この手の効果、あるいはそれをどうやって実現するか、といった研究はしてみて損はなかろうし、研究しておけば、仕掛けられたときの対処にも役に立つのでは。
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