Opinion : 推しに課金するのは嫌ですか ? (2021/7/5)
 

JR 東日本が田端で開催したイベントが、内容充実かつ荒れない雰囲気で、良い結果になったらしい。めでたしめでたし。

COVID-19 の一件があるから、そもそも通常のような「出入り自由で大混雑のイベント」にはしがたいものがある。だから、一般公開イベントを事前申し込み・抽選制にする事例は昨年あたりから出てきていたけれど、さらに有料化に踏み込んだのがポイントかと思った。

それに対してブーブーいっているキッズもいるらしいけれど。


そもそも、運輸業は利用が減ってしんどい状況にあるわけで、多少なりとも収入になることならやりたい、というのが本音かと思う。人数限定・有料制となると、訪れる人の数が限られるから、イベントそのものの revenue はべらぼうなことにならないにしても、ゼロではない。そこに行き来するまでの利用も発生するわけだし。

ただ、「お代をいただく」となると、相応のコンテンツを用意しないと、訪れる側も納得しない。だから、イベントの開催にはそれなりに手間もコストもかかるわけで、それをさっ引くと、イベントそのもので得られる利益は、意外と少ないかも知れない。もちろん、その辺のソロバン勘定はしているのだろうけれど。

実のところ、コンテンツ以上に、落ち着いた「荒れない」イベントを提供するという点で、有料化の意味がありそう。それはイベントの運営コストを抑える方向にも働くわけだし。

そういえば。最近はどうだか知らないけれど、ひところ、自衛隊の一般公開イベントで「入場無料だけど楽しめる」と吹聴する記事をいくつか見かけたことがある。確かに、在日米軍も含めて、基本的には入場無料である。

総火演のチケットがプラチナ化して、オクで落とすような羽目になれば話は別だけれど、生憎とその revenue はまったく国庫に入らない。

「タダで非日常体験ができるなら行く」「タダでネタを手に入れられるなら行く」となれば、集まる人が増えるのは自明の理で、しかも中にはアレな人も混ざることになってしまう。

何も対価を払わないのに相応のクオリティを要求したり、場所取りなどで荒れたりするのでは、イベントを開催する側も考え直したくなろうというもの。そういう意味で、有料化はひとつのフィルタとして機能していることになる。

それに対して銭ゲバだなんだと文句をいう人に対しては、殺し文句がある。「推しに課金するのは嫌なんですか ?」って。好きな車両や好きな路線があれば、まず行って乗るのが最善。それと同じこと。もっとも、鉄道事業者のイベントだから使えるフレーズで、業界によっては、課金が直接、推しのところに行かないこともあり得るけれど。

そういう意味で、当該路線にまったく乗らない「ラッセル車の追っかけツアー」は、いささか感心できないものがあると思う。


日本では岩国ぐらいしか事例がないけれど。海外のエアショーに行くと、いちばん美味しい場所が「有料席」になっている、そんな事例をいくつも見た。特に MCAS Miramar の場合、大半が各種の有料席で (グレードがいくつもあるのだ)、無料観覧スペースは両端だけ。

ええ、払いましたとも、一日に $20 ぐらいかかったかな。でも、対価を払った分だけ良い場所を、というのは理に適っている。それに、そこまでして有料席に集まるのはガチ勢ばかりだから、同好の士が集まるのもある種のフィルタリング。

ただ、ミリタリー系のイベントで有料席を作っても、その revenue が国庫に入るわけじゃないだろうから、これは「推しに課金」とはならないのが惜しいところ (駄洒落になってるよ)。アメリカのエアショーみたいに、民間パフォーマーが多いところなら、そちらに上がりを回す手はあるかも知れないけれど。

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