Opinion : ユーザーレビュー考 (2021/8/9)
|
ネット通販サイトにつきものなのが「ユーザーレビュー」というやつ。自分も淀コムではいろいろ書いている。ただ、他の人が書いたレビューを見ると、「レビューになっとらん」「何の参考にもならん」といった、単なるノイズが入り乱れていることが、ままあると感じる。
たぶん、他の通販サイト、あるいは口コミサイトの類でも、事情は大して変わらないのでは。そして Amazon あたりでは「中華業者が利益供与して、やらせレビューを投稿させた」なんて話まで出ている。最近では、一応、手は打たれているらしいけれど。
本来の趣旨としては、「購入者、利用者の生の声が載ることは、他の購入者や利用者の利益になる」ということなのだろう。でも、悪用やノイズが跳梁跋扈すると、完全無視するか、なにかしらノイズを排除するかしないと、却って害悪になりかねない。
正直いって、今のスタイルでのユーザーレビューや口コミの投稿を運営サイドが続けても、ノイズばかりが目立つ結果にしかならないような。悪貨は良貨を駆逐する。
そもそも、「他の購入者や利用者の役に立つような投稿」って、口でいうよりもずっと難しい。一応、文章を書く仕事をしている立場だから、この視点は忘れないようにしようと思うものの、やっぱり難しい。
単に「○○用に買いました」だけでは参考にならない。個人的な好み、特殊な用途やニーズに合致しないからといって「×」をつけるようなことをされても、これまた参考にならない。そしてもちろん、アフィリエイト報酬目当ての宣伝色があまりにも露骨だと、これまた参考にならない。
たとえばの話、「これは『ぼくのかんがえたさいきょうのかめら』ではないのでダメな製品です」なんて趣旨のことを書かれても、何の参考にもならないんである。某 blog のコメント欄を見ると、この手の投稿が溢れているけれども。
|
そんな状況だから、何かの商品について検索する場面では、ノイズを排除するプロセスは不可欠。幸い、Google Chrome には uBlacklist という便利な機能拡張があるので、ノイズまみれのサイトはバシバシ排除リストに放り込んで、そもそも検索結果に出さないようにしている。
そういえば、Twitter の投稿でも、アフィリエイト報酬目当ての宣伝がワラワラとひっかかって頭を抱えることがある。宣伝だからというより、何の参考にもならないノイズだから排除するわけだけど。見つけたその場でミュートするけど、対象となるブツが変われば仕切り直し。モグラ叩きの無限ループ。
あと、それをくぐり抜けて「目を通す」段に至っても、書き手の傾向・趣向・立ち位置を把握して、「補正値」をかけるプロセスも欠かせない。たまたま、軍事情報なんていう分野に首を突っ込んでいるから、この手のプロセスには馴染みがある。しかし、補正値をとれないと補正もできない。
そして、両極端を排除して中間値とその前後を拾うのがベター。だいたい何でもそうだけれど、極論に走る人はロクなもんじゃないことが少なくない。商品やお店の評価だったら、極端に持ち上げていれば信者かヤラセを疑うし、極端に貶していれば大元の立ち位置がずれてる。
無論、全員が全員、そうだと決めてかかってはいけないのかも知れない。でも、これぐらいやらないと自衛にならないのも、また事実ではなかろか。
|
とどのつまり、個人の立ち位置や主観という要素を排除するのは無理な相談なのだから、「過度な期待をしない」「何か参考になるものがひとつでもあればいいな」ぐらいの扱いにしておくのが、無難な付き合い方なんじゃないだろうか。
いくら「集合知」の御時世だといっても、ノイズを大量に集めたところでノイズの山にしかならない。「真実はネット上にある」と信じ込んでしまっている人には響かない話かも知れないけれど。
|