Opinion : カブール陥落に関する徒然 (2021/8/16)
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最初は別のネタを考えていたのだけど、それは来週に回すことにして。一応、安全保障に関わる問題も仕事にしている身なので、カブール陥落の話について書いてみようと思った。
といっても、いつもいっているように「第一報は錯綜する」ものだし、どこで何が起きているかという話はパス。これを御覧いただいている皆さんも、ニュース速報的な話は期待されていないだろうし。
思えば、9.11 同時多発テロの後で OEF (Operation Enduring Freedom) が始まったのは 2001 年 10 月のことだから、いわゆる GWOT (Global War on Terror) は 20 年近く続いていることになる。
そして多くの資金と物資をつぎ込み、人命を失った挙句、こんな事態になってしまった。「この 20 年間にやって来たことはなんだったのか」「無駄な戦争をしやがって」的な声が溢れるのは、まぁ容易に予想できるところ。
確かに UBL の首を取ることはできたけれども、それも含めて、つぎ込んだモノや資金や人命に見合った成果が得られたといえるのか。それを定量的に図る術は手元にないので、ここでは言及しない。
ただ、ここで GWOT から手を引くという考えには、相応の理があるとは思っている。ここでさらに欧米諸国が GWOT のためにリソースをつぎ込み続けたとき、それを見てもっともほくそ笑むのは誰だろうね ? ということは考えてみる必要があるから。
それに、外野がいくら世話を焼いて支援をしても、当事者に「その気」がなければ、結局は解決にならない。なにもアフガニスタンに限った話じゃなくて、中東やアフリカあたりではよくある話。
ただしその一因が、過去の歴史的経緯と植民地時代の線引きをそのまま流用してテキトーに (?) 国境線を引いてしまったことにあるのは、否定できない。
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前にもどこかで書いたような気がするけれど、ひとつの近代国家としてのまとまりを維持するためには、「土地や人」あるいは「理念や主義」といった求心力が必要なんじゃないかと。われわれ日本人だと前者がメインになるだろうけれど、アメリカは明らかに後者の色が強い国。ソヴィエト連邦も、どちらかというと後者だろうか (だから結局、複数の国家にばらけてしまったのだと思っているけれど)
実情を無視してテキトーに国境線を引いて「ハイ、今日からこれがあなたたちの国です。団結して国を護り、盛り立てていきましょう」といわれても、それはねぇ… そして結局、身近な部族あるいは一族といった局地的利益を追求することになれば、不正蓄財の温床になるのも宜なるかな。
となると、「いわゆる西欧型の近代国家を樹立して安定させることで、テロの温床をつぶそう」という考え方そのものから見直す必要があるんじゃなかろか。テロ組織を維持するために不可欠な「聖域」「資金源」「思想や目的」といった要素を、別の方法でつぶせないものか。そういうアプローチも必要なのかも。
「安定して、ちゃんと治安を確保できる近代国家」は主として「聖域つぶし」の面で効いてくるだろうけれど、今後は「資金源や物資供給ルートを絶つ」面の攻勢がメインになってくるのかも知れない。「思想面から攻めるための宣伝戦」という手も考えられるものの、狂信者に対してこれは効くかなあ…
なんにしても、アフガニスタンはおそらく、時計の針を四半世紀ばかり巻き戻したところからリスタート、ということになると思われる。問題は、そこに第二のアルカイダみたいな連中が入り込まないか、タリバンがまたぞろ「やらかし」に至りはしないか、というところ。
たぶん、反米・反グローバリズム系の人達は「欧米の手法が失敗した」といって快哉を叫ぶだけで終わってしまうだろうけれど、それじゃ根本的な問題の解決にならない。
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カネの問題といえば。「途上国の借金を棒引きにしろ」といって中国製イカリングを売りさばいてた人達、息してる ? もう、この話は忘れ去って、別のネタで盛り上がってない ?
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