Opinion : 左警戒・右見張り Ver.2022 (2022/4/4)
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前にもどこかで同じようなことを書いた記憶があるけれど、ことに新聞やテレビでは、何かホットな話題があると、そのホットな話題と関連する話題に集中して、尺や紙面を大量に使う傾向が強い。すると何が起きるかといえば、普通なら取り上げられていたと思われる、他の話題が押し出される。
だから、実はそういうときこそ「左警戒・右見張り」が必要。ひょっとすると、「本来なら取り上げられていてしかるべき」な話が見落とされてしまうかも知れないから。世間の耳目がホットな話題に引きつけられている間に、ドサクサに紛れて、何かをやらかそうとする輩が出てこないとも限らない。
こんなことをいうと怒る人がいるだろうけれど、当事者以外の人にとっては、戦争のニュースというのは、ある意味「最強の娯楽」になる。するとどうしても、最前線の話に気が向いてしまう。そういう背景があるから、「現地の状況」と称する動画が流れてくれば、つい食らいついてしまうし、拡散もしてしまう。
気持ちとしては分かるけれども、実のところ、大事なポイントは別にあるのでは。
今回の件に対して、ロシアと同様に「力による現状変更」を目論みそうな他の国がどういう反応をしているか。その手の国々が、ロシアとの距離感をどう変化させているか or 連携したり支援したりする動きを見せているか。ロシア軍が何か失敗しているとすれば、その失敗を自国が繰り返さないように、どんな手を打とうとしているか。
御近所に「力による現状変更」を企てる国がいる現状からすれば、上で書いたような話にもしっかり目を向けていかないとまずい。
それに、ロシアが侵略戦争を仕掛けたことがきっかけになって、これまで続いてきた経済のグローバル化に変化が生じるのではないか、国際社会の分断が一挙に進む原因を作るのではないか、経済・産業構造の再構築につながるのではないか、という見方も成り立ち得る。
もちろん、これらは考え得る可能性として挙げただけだから、必ずそうなると断言できるものでもないけれど。
反グローバル化の活動家にしてみれば、こんな形でグローバル化の足が引っ張られる可能性が取り沙汰されるなんて、想像だにしなかったかも知れない。見ようによっては、活動家が実現できなかったことを、図らずもプーが実現してしまい得る、との話になる。
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もっとも実際のところ、「再構築につながるのではないか」と他人事みたいな話にするのではなくて、これを契機にして能動的に再構築することの方が、必要であるかも知れない。サプライチェーンでもエネルギーでも何でも、従来の依存関係がそのまま続くと考えるのは危険かも、という意味で。
実のところ、この「能動的に」自ら動き出すのって、我が国では往々にして苦手そうな話であるけれど。
そして、これまで当たり前だと思っていた、さまざまな分野におけるゲームのルール or 勝利の公式について、もはや通用しなくなっているんじゃないか、通用しなくなる可能性があるんじゃないか、ということも考えてみる必要がありそう。
そういう話も含めて「左警戒、右見張り」ということ。
あと、対露という話になると、避けて通れないのが北方領土問題。政治的にはなかなか言い出しづらい話であろうけれど、普通に「交渉による返還実現」なんてことは、もはや考えられなくなっているんじゃなかろうかと。希望は希望、現実は現実。
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