Opinion : これからモスクワが仕掛けてきそうなこと (2022/6/20)
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今朝のニュースのヘッドラインで、「NATO 事務総長が、ロシアがウクライナに仕掛けている戦争は長期化するとの見通しを示した」との記事が。その少し前には、世論調査で「ウクライナ疲れか」なんて話も流れてきていた。
世論調査の方は「設問次第」のところもあると思っているので、話半分ぐらいに聞いておくとしても。とはいえ、長期化したときにどこまで支持や支援が続くだろうか、という懸念は払拭できない。ただし一方で、そもそも長期戦にならないと考えてたの ? とも思うわけで。
個人的には、「大戦争でも短期で終わる」という印象を植え付けてしまったのは 1991 年の湾岸戦争が原因だと思っている。しかしあれは、世界の大半が「イラクをとっちめろ」という方向になり、それに加えて一気に大軍を投入できたこと (そして、それを阻害するような目立つ紛争が他になかったこと) など、条件が良すぎた。
でも、結果だけ見ると「今後も同じ調子で行くのでは」と、サッカリンのように甘い期待をしてしまう。
一般論として、長期戦になればなるほど、リソースの勝負になる傾向はある。戦争は人命やモノや資金を貪り食うから、それらの手持ちが多い方が有利になりがち。だけど、それだけの話じゃない。当事国はもちろんのこと、支援国においても、世論の支持がどれだけ得られるかが問題になってくる。
第二次世界大戦の、とりわけいわゆる独ソ戦に関する統計データを見ると、1 回の会戦で万単位の死傷者を出すような交戦が延々と続いていて、よくもまあ当時のソ聯国民は、これに耐えられたもんだと思う。その背景には、スターリン体制下での締め付けだけでなく、国民の戦意を煽り立てる宣伝の効果もあったのだろうけど。
そして、プーはそのときのことも意識していると見て間違いないはず。だいたい現代における不幸のひとつは、第二次世界大戦のときには一人しか居なかったスターリンが、現代には三人も居やがることなのだ。
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いうまでもなく、いわゆる自由主義圏においては世論もひとつの「重心」。だから、モスクワも (そして北京も) そこを突いて宣伝戦を仕掛けてくると考えてかからないといけない。受けて立つ側としては、そういう事態に対する備えをしておかないと、えらいことになる。
この先、ロシアとウクライナの戦争が長期化すれば、「こんな泥沼の戦争になってしまって、それでもゼレンスキーへの支援を続けるんですか ?」みたいなことを声高にいう人が何人も出てくるだろうし、当のモスクワも同じようなことをいいそう。
だいたいすでに、「物価高をどうにかするにはウクライナが降参した方がいい」みたいな無茶をいう人は現れている。この先、「世の中の良くないことはみんな、降参しないウクライナが悪い」みたいな方向に持っていく輩が出ないと断言できる ?
あと、なまじ開戦劈頭から「ロシア軍不利」みたいな話がゾロゾロ出てきただけに、「ロシア軍があっさり負けると思ったのに、なんで未だに戦争が続いてんの ?」といいだす人も、きっとゾロゾロ出てくる。
今は「私はウクライナの味方です」と表明するのがトレンドだから、それに乗っかる人が多い。Twitter で見ていても、名前の欄に青と黄色のなんだかをちりばめている人はよく見かける。日頃の投稿内容からいって「この方ならそうだよね」という方だけでなく、「なんでこの方が」と思うようなアカウントが「ウクライナ支持」に回っていたりもする。
でも、もしも今後、戦争が長引くだけでなく、ウクライナの旗色が悪くなる場面が発生するようなことになれば、どうなるか。長期戦になって、ウクライナ支持が「トレンド」から滑り落ちたときに、どうなるか。そういうところもまた、宣伝戦における「攻撃の矛先」のひとつになり得るというのに。
いつも書いているように、流行り物はいつか流行り物ではなくなる。そうなったとき、トレンドに乗っかっていた人ほど、あっさり他の話題に鞍替えしてしまうことはないのか。鞍替えするだけならまだしも、ナントカの憎さ 100 倍で反ウクライナに転じやしないか。
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