Opinion : トヨタ産業技術記念館に行ってきた (2022/8/29)
 

土曜日に、前から行きたいと思っていたトヨタ産業技術記念館を訪れてきた。もちろん、トヨタグループの施設だから「織機」と「自動車」が二本柱で、どちらも自分の仕事に直接関わるものではない。でも、何かしらの気付きや学びは得られるんじゃないか、と考えた次第。

長久手のトヨタ博物館もそうだけど、「企業の広報活動」の枠を踏み越えた、よりジェネリックな (という言い方でいいんだろうか) 展示をしているところは、実に大したものだと思った。


トヨタ産業技術記念館の何が素晴らしいと思ったかというと、まず、展示されている機器類の多くが実際に動くこと。メカヲタクの視点からすれば面白くないはずがない。

最初はサッと見て済ませようかと思っていた (ごめん) 織機の方の展示で、綿の素材から糸を作って織物にするまでの過程の実演に行き会い、とうとう最初から最後まで食い入るように見てしまった。実際に綿の素材を見たり触ったりできて、それを機械が加工する過程について説明を受けて、実際に機械を動かして見せてくれる。面白くないはずがない。

あと、鍛造加工の実演は頻繁にやっているし、タイミングが合えば鋳造の実演も見られるらしい (自分はタイミングを外した)。単に「こういう加工をします」ではなくて、実際に使っている道具や、加工によってモノが変化する過程を生で見られる。面白くないはずがない。

実際に行ってみて、もっとも食い入るように見てしまったのが、実は「トヨタ生産方式」の説明だった。名前ぐらいは知っていても、具体的にどういう考え方の下でどういう手法を用いているのかまではよく知らなかったから、なかなか勉強になったと思う。

過去に、自動車工場を見たことも一応はあるし、飛行機の製造工場も造船所も訪れたことがある。車両検修の現場もいろいろ見ている。モノや仕事の内容は違っていても、効率性・確実性の追求という点で共通するものはあると思っている。展示パネルにある内容と、自分が実際に見たことがある現場を照合して「なるほどね」となる。面白い。


自分がもともとメカヲタクだから、「自動織機に、縦糸が 1 本でも切れたら自動停止するようなメカニズムを組み込みました」と聞いて「なんだなんだ !?」となり、実際に仕組みに関する説明を受けて「これはシンプルながら確実ですごい」と感心した。さらに「横糸の供給が途切れないようにする仕組み」の話にも感心した。

あの辺のメカニズム、よく思いついたものだと思う。ただし感心したのに続いて、「実際に確実に動作するものを実現するまでには、重量や寸法など、相当な試行錯誤があったんじゃなかろうか」なんて考えてしまうあたりが、メカヲタクにしてテスト屋らしいところ (なんのこっちゃ)。

実際にどんな仕組みで実現しているかは、現地で見て、話を聴いて欲しい。ここでネタバレしちゃっては面白くない。

ただ、すごいメカニズムだけれど、技術はあくまで手段。あくまで目的は「不良品を出さないこと」にある。そもそも自動織機の根底にある考え方も「人手でやると大変な作業を機械化して、負担を減らそう」というところ。自動車館の方にあるクルマの生産がらみのあれこれも、コストの話だけではなくて「不良品を出さない」「間違いを起こさない」が根っこにあるとみた。

明快な思想やビジョンがあって、それを実現するために知恵を絞り、技術を開発したり磨いたりする。それが本筋だよね。と再認識して帰途についた次第。

それはそれとして。LFA の実車を初めて見たので、ちょっと興奮したのはホント。でも、スタティックでは物足りないところもあって、やはりあの「天使の咆哮」をライブで聴いてみたいものである。運転させてなんていわないから (ぁ

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