Opinion : イタリアの工業界を馬鹿にしちゃいけない (2022/12/12)
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次期戦闘機の話。「我が国主導の共同開発」の旗がどうなったのかはともかく、日英伊の三ヶ国体制という方向性が確定した。よくもここまで思い切れたものだと思うけれど、「新しい血」が入ってくる効果はあるかも知れない。これまでアメリカの方ばかり見ていた気配があるから。
もちろん、同盟国であれ、アメリカの方を見るのは当然であるけれども、それ *ばかり* 見ているよりは、いろいろ視野を広く持てる方がよいでしょ。
それはともかく。日英ではなくて日英伊になったことで「イタリアなんか混ぜて大丈夫なのか」といっている人がいるらしい。いやいや、イタリアの工業界を馬鹿にしてはいけない。クルマはよく故障するのかも知れないけれど、それはそうとしても所謂「スーパーカー」のメーカーにイタリア企業が多い事実もある (また昔のブームを持ち出してからに…)。
だいたい、海上自衛隊の護衛艦が載せている艦載砲からして、Mk.45 が主流になる前は OTO メララ製品 (のライセンス生産品) で席巻されていたことをお忘れかと。日本どころか米海軍でも、OTO メララの 76mm 砲を Mk.75 としてライセンス生産して導入したことがあるぐらい。
しかも、毎分 120 発撃てる 76mm 砲なんていう、いかれた (褒め言葉) 製品をこしらえたのはイタリアぐらいのものである。
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そういえば、SIG ザウアー P320 をベースとする MHS (Modular Handgun System) が出て来る前、米軍の制式拳銃はベレッタだった。これもまた、世界的に広く顧客を獲得しているイタリア製品。AFV にしても自国で開発・製造するだけでなく、輸出も結構やっている。
艦艇についても言わずもがな。「世界の艦船」の海外艦艇ニュース欄をマメに見ていれば、よく分かるはずの話。フィンカンティエーリが、どれだけ多くの外国に艦艇を輸出してきていることか。
そして空の上でも、固定翼機・回転翼機の双方でいろいろ実績を作ってきているし、F-35 の FACO (Final Assembly and Check-Out) をアメリカ以外で置いているのは日本とイタリアだけ。知らない人が多いかも知れないけれど、宇宙分野や誘導弾に関わって実績を積み上げているメーカーもちゃんとある。
この辺の話、「ヘリワールド 2023」で書いたレオナルドの紹介記事でも触れていたのだけど、紙数の関係でだいぶ削られてしまったのは残念。
あと、日立がヨーロッパで買収して傘下に収めた鉄道関連企業は、どこの国の会社でしたっけか ? JR 西日本が導入した軌道設備検査機材の製造元は、どこの国の会社でしたっけか ?
だいたい日本では、ヨーロッパの、ことに工業分野というとドイツばかり持ち上げて、上に見すぎる傾向があるように思う。別にドイツ製品がダメといっているつもりはないけれど、ドイツ *だけが* すごくて他がダメ、は間違ってると思う次第。
おっと、ことに昨今のドイツにおける政治や外交については、思うところがいろいろあるけれど、それはまた別の話。
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別に「イタリア信者」にならなくていいし、なる必要もないけれど、正当な評価はしましょうよと。そういう話。
そういえば。個性的なイタリア製品というとピアッジオ P.180 アヴァンティがあるけれど、外観の格好良さだけでいうならば、ビーチクラフト スターシップの方が好き。スターシップが商業的に失敗に終わったのは、紛れもない事実なれど。
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