Opinion : その場その場の流行りで煽る人々 (2023/3/6)
 

NF-16D こと X-62A VISTA の一件について、少し原稿を書いた。この機体がいきなり話題にのぼったのは、もちろん「AI を使って操縦して云々」のリリースが出たせい。なにせ AI といえば昨今のホット ワードだから、「AI が飛行機を操縦した」というだけで飛びつく人は出てくる。

ただ、前後の文脈や話の流れを追わずに、人目を引くイベントに単発で食らいつくと、不必要に大騒ぎしたり煽り立てたりすることになりがち。これは、以前にあった "Alpha Dogfight Trial" のときもそうだったけれど。

"Alpha Dogfight Trial" の最終結果だけ見て「AI が五戦全勝、もう人間のパイロットは失業する !」なんて煽る人がいたら、それは物事をちゃんと見ていない、と白状しているようなもの。

DARPA (Defense Advanced Research Projects Agency) がどういう文脈、どういうビジョンの下でこういうプロジェクトを走らせているかをキチッと見ていれば、ひとつのトライアルの結果だけ見て過剰に大騒ぎすることはしない。このトライアルに対してどういう反応をしているかを見るのは、ひとつのリトマス試験紙といえるかも。

もっとも、後先のことを考えないで、そのとき、そのときのトレンドに乗っかって大騒ぎするのは、さまざまな分野で頻繁に見られる話。困ったことに、SNS みたいな空間は、そういう騒ぎを増幅して伝えてくる。


トレンドといえば。「反○○」の業界にもトレンドのようなものがあるみたいで、対象が変わらなくても、時期によって担ぐお題目が変わる。分かりやすい例だと F-35 がそれで、以前なら「九百何十件の欠陥ガー」ばかり連呼されていた。誰か「教祖様」にあたる個人か組織か媒体がいいだして、皆が真似しただけなのだろうけれど。

実のところ、最近でも F-35 をめぐる不具合の総件数はそんなに変化していない。カテゴリー 1 に分類される不具合は減っていて、しかも fatality の低いやつばかり残っているのは事実なれど。でも、反対派の皆さん、もう不具合の件数を言い立てるのには飽きたらしい。いいのかそれで。

代わって、目下の流行は「時代遅れ論」。もっとも、これもまた突っ込みどころがありすぎなのだけれど。またぞろ、誰か「教祖様」にあたる個人か組織か媒体がいいだしたのだろう。異口同音に同じようなことを壊れたレコードみたいに連呼する人が現れるところからすると、いってる本人は、自分でちゃんと調べた訳でも考えた訳でもないようだ。

つまりは、こういう分野でも流行のようなものがあって、それに乗っかってるだけ。「反○○」という動機の部分だけが同じで、そのとき、そのときで流行っている、ウケそうなお題目をつまみ食いして使う。それだけ。

だから、COVID-19 のせいで人流が激減したときには、「もう何でもリモートで済むのだからリニアは要らん」みたいなことをいう人が続発した。で、何でもリモートで済むようになっただろうか。もっとも、これをいっていた人達も、今は知らぬ顔して全国旅行支援に乗っかっているかも知れないけれど ()


現実問題、F-35 関連のニュースをちゃんと継続的に追っていれば、ここで「高調波共鳴」の語ぐらい出してみても良いはず。なのにそれが出てこないのは、ちゃんとニュースを追ってない証拠。お仲間か教祖様が吹聴する論を反復しているだけというのがバレる。

もっとも、「高調波共鳴」の件、すでに fix が始まっているから、今から持ち出しても大したインパクトはなかろうけれど。それに、「そんな単語を出されても分からない」と音を上げそうでもある。

万人に受け入れられるようにするには、みんな知ってる流行りのアイテムに乗せるか、誰でも分かりそうな単純化した話に無理矢理落とし込むしかない… そんな考えがあるんだろうか。そういえば、いわゆる陰謀論の類にも、そんな傾向はある。

でも、そんな安直で一発屋で継続性も一貫性もないやり方では、どこかで行き詰まるのではないかなぁ。

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