Opinion : DSEI Japan 取材雑感 (2023/3/20)
 

先週は水曜から金曜まで DSEI Japan に出ずっぱり。おかげで、1 万円チャージしておいたモバイル Suica の残高がどんどん減る減る。毎日、海浜幕張まで往復していれば、そうなる。幕張で宿泊すれば楽ができた一方で、もっとおカネがかかったけれど。

現地ではインタビュー取材をこなしたり、あちこちのメーカーさんで話を聞いたりして、得たものは多大であったけれども、とにかく疲れた。もっとも、平素は運動不足になりがちだから、歩いて移動する場面を作るという意味では良い機会であったけれど。


常々書いているように、この手の展示会では「どんな企業が出てきているか」「それぞれの企業が持つ製品やサービスのラインナップのうち、何を持ってきているか」を見るのが重要。安くはないであろう出展料を出しているからには、商売につながりそうなものを最大限にアピールしないと割に合わない。

それは特に、製品・サービスの幅が広い Tier 1 クラスの大手企業についていえること。広範なラインナップのうち、どれを日本に持ってくれば商機があるか。それを真剣に考えないといけない。

そういえば、アメリカの Tier 1 クラスのうち General Dynamics の姿がなかったのが興味深いところ。あと、姿はあったものの「えっ」というぐらいに規模が小さかった Boeing。

そして自分が見た範囲内では、領域横断型 C4 (Command, Control, Communications and Computers) ソリューションに関するアピールをしていた会社が複数あった。いいかえれば、そういうソリューションを日本に売り込むチャンスがある、とみられているわけだ。すでに領域横断型 C4 インフラができあがって、能力を実証していれば、たぶん、そうはならない。

これも以前から、あちこちでいったり書いたりして回っている話で。戦闘空間が何種類もあるから "Multi Domain" というわけではないし、領域横断になるわけでもない。さまざまな戦闘空間を一元的に扱う基盤がなければ、"Multi Domain" も領域横断も成り立たない。

どうも、そういうところの信念がハッキリしないままに、流行り言葉に乗っかって "Multi Domain" や "領域横断" の大安売りがされている傾向がなきにしもあらず、と思えるのだけれど。

一方では、銃弾の売り込みに来ていた会社もあって、これはさすがにちょっと首をひねった。よほど特殊な分野のものならともかく、普通の銃弾を日本が他国から買うだろうか。もっとも、たまたま展示会の場所が日本だっただけで、売り込み相手は別の国という可能性も考えられるけれど。

実際、日米の制服姿がたくさん見られるのは当然としても、それ以外のさまざまな国の制服組が会場に来ていた様子。防衛関連の展示会は安全保障情勢の縮図だから、どこの国の制服組が来て、どこで何を見ていたかを調べるのも情報活動のひとつ、といえるのではなかろか。


たぶん、今回の DSEI Japan において、もっともホットな話題は例の新戦闘機共同開発の話であろうし、それは当然の展開。個人的にはソッポを向いていた部分があったけれど。

ただ、そこに気をとられて他の話題を見落とせば、それはちょいともったいない話。意外な出展者、さりげなく置かれていた展示品に目を向けるのも、展示会ウォッチャーの醍醐味。Elbit Systems が Iron Fist のモックを置いていたのなんか、その典型例じゃないだろうか。

あと、日本がこれから海外市場に本気で打って出ようというならば、他国に向けてアピールしたり売り込みをかけたりする場面で、どういうことをしているのか、どういうことが必要なのかを知る材料にもなったはず。ちゃんと顧客の方を向いて、顧客が求めているものを提示していかなければ、商談が成立するはずがない。分かってんですか > 誰とはなく

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