Opinion : インフォーマルなお付き合いは大事 (2023/6/19)
|
5 月に訪米したとき、米海軍最後の現役艦 (というか、ちゃんと海に浮かんでいる帆走軍艦としては世界最古らしい) の USS Constitution を訪れることができた。現役艦だから、ちゃんと現役の海軍軍人が乗り組んでいて、各所で説明にあたっている。
そんな乗組員 (といっていいのだろうな、たぶん) の中に、「日本で勤務していたことがあるよ」という方が。航海の途上で日本に寄港した場合でも、生の日本を目の当たりにできるわけだけれど、仕事の場として住んでいたとなれば、いいところも悪いところもひっくるめて、もっと深く見ることができただろうなぁと。
逆に、自衛隊から米留というケースも少なからずある。これもたぶん同じ。ことに、一人で米軍の部隊に放り込まれる (言い方) ようなことになれば、もはやお客さんではいられないだろうし、いろいろ経験できるんじゃなかろうか。
そこまで話が大きくなくても。会社勤めの過程でいろいろな部署を行き来したり、子会社に出向したりしているうちに、幅広い人脈ができて、それが役に立っている。なんていうお話を、取材の際に伺ったこともある。
COVID-19 の騒動が持ち上がり、人の移動が制約されて、仕方なくさまざまなことをリモートで解決しなければならなくなって。そうなったときに、逆に「リモート至上主義者」というか「リモート原理主義者」というか、そういう人があちこちから湧いてきたのは面白い現象だった。
でも、前にも書いたかと思うけれど、生で会って話をするのと、リモートでやりとりするのとでは、やっぱり「なんか違う」。ことにそれは、インタビュー取材の場で強く感じたこと。短時間、取材で話を聞かせていただくだけでもそれだから、もっと踏み込んだお付き合いになれば尚更でしょ。
裏を返せば、冒頭の話みたいなのは、あまり普段は意識されないものの、「日米同盟」を支える大事な柱だろうと再認識した。ような気がしている。
政治家同士が文書に調印して握手して見せて記念写真に収まって。それだけで同盟が成立するかというとそうではなくて。現場レベルで双方の当事者同士が実際に接して、一緒に仕事をして、メシを食ったり呑んだり馬鹿話をしたりするのが本当に大事なんじゃないか ? という話。
たぶん、会社と会社の協業でも同じで。仕事上のやりとりに加えて、メシを (ry みたいなインフォーマルなやりとりがあることも大事なんだろうなぁと。
人付き合いひとつとっても、その手の「本業以外の +α」があるのとないのとでは、「深み」が違ってくる。それは会社員でもフリーランスでも軍務でも同じでしょうと。「現場現物」という言葉があるし、自分もチョイチョイ使うけれど、相手が「モノ」ではなくて「人」でも同じよね。と。
なんていう話になると、外国を訪れたときに「よそ行きの場所」だけ見ていたのでは見えてこないものがあるのかもなぁ、という話になる (のか ?)
たまたま、自分は海外に出ると、地元のスーパーやコンビニをのぞいて「民の竈をあらためる」ことが間々ある。といってもこれは、そんな御大層な理由ではなくて。ソロで行く機会が多い上に小食だから、気に入りそうなモノをチョイチョイと買ってきて済ませて、それで満足してしまうという理由が大きいのだけど。
ただまあ、それが結果として「地の部分」を見ることになっているのかも知れないなあとは思っている。たまにはそういうのも面白いでしょ。
そういう話になると、先日の G7 のときに広島でお好み焼きを焼いていたスナク英首相。あれは正直いって「お見事 !」と「一本とられた !」感があった。誰が仕掛けたのか知らないけれど、実にうまいことやったものである。
|