Opinion : 身近な日常生活と世界情勢 (2023/8/21)
 

4 年前にスウェーデンに行ったときのこと。帰りにコペンハーゲンからヘルシンキまでフィンエアーの A320 に乗ったら、たまたま自席が中国人の団体に囲まれていた。そのトバッチリで、降機の際に CA さんに「再見」と挨拶されてしまった。

もっとも、あちらの人に日本人と中国人を見分けろといっても無理があろう。立場が逆になれば、こちらだってスウェーデンとノルウェーとフィンランドの人の区別はつかない。「北欧女子ってデカい」で終わってしまう (ごめん。悪気はないんだ)


そんな与太話はそれとして。少し前に、「中国政府が日本向けの団体旅行を解禁する」とのニュースがあった。それを受けて、大陸からの訪日需要に期待する向きが現れるだろうなとは思ったし、実際、そうなっている模様。

ただ、北京は自国からの海外旅行者ですら「経済兵器」として使う可能性がある点は、留意しておかないといけない。これは妄想でもなんでもなくて、現に韓国が THAAD (Terminal High-Altitude Area Defense) 配備問題に関連して、本当にやられた実績 (?) もある。

それに、団体旅行が解禁されたからといって、それで必ず「爆買い特需」が復活するなんて、誰が保証するん ?

この辺の一連の流れを見ていて思ったのは、「ああ、ここでもまた、過去の成功体験の再来にしか期待できないのかなあ」。

国防でも実業でも何でもそうだけれど。過去に何か成功体験があった場合に、その成功体験の虜囚になってしまうと、後で往々にしてカウンター アタックを食らう。その成功体験が劇的なものであるほどに、「夢よもう一度」といって、成功体験の再来を願う虜囚になってしまいがち。

でも、本当にそれをやってしまうと、えてして夢は再来しない。それどころかむしろ、没落の原因になってしまう。そんな話がそこここに転がっているんじゃないか。と思っている。

実のところ、劇的な成功があったときこそオール リセットして、ゼロベースで「次の勝利の公式」を考え出さないといけないし、それができる個人や組織は強い。以前から何度も書いている話ではあるけれど。


「夢よもう一度」にしても、単に願うだけではなくて、その背後の事情にも目を向けないと。なにしろ、国際情勢が関わる話なのだから。何も対中関係に限らず、その他の国の話も含めて、遠いどこかの国で起きた何かの出来事が、身近なところまで波及するのはよくある話。

プー 1 号が始めた愚かな戦争のトバッチリが、世界経済のそこここに影響しているのもそう。幸いにも西欧は平和であるけれども、その西欧と日本の間を行き来する際の足にはしっかり影響が出ている。かように、いろいろな結びつき、いろいろな影響がある。プー 2 号にしても、使えるものなら何でも兵器にする。なにも弾が出たり爆発したりするものだけが兵器ではない。

そういう状況だからこそ、そして「海外からの需要」に期待するならなおのこと、「海外の情勢に目を向ける」必要はあるのではないかなぁ。さすがに、個人の生活レベルのことでいちいち「北京マネーには頼らない」と眦を吊り上げなければならない、とまではいわないにしても。

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