Opinion : 耳の痛い話と単なる悪口 (2023/9/18)
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とある航空宇宙・防衛系ニュースサイトを情報源にするようになって、ずいぶん経つ。あちこちの公式発表を拾って来るのか送ってもらっているのか、とにかくひとつところでかなりの範囲をカバーできるので、そういう意味では重宝している。
ただしこのサイトには、ひとつ困った性質がある。露骨にアメリカ嫌いなんである。ことに、F-35 と沿海域戦闘艦 (LCS : Littoral Combat Ship) を腐すことに情熱を傾けているらしい。見出しの付け方でも Editor's Note でも、それがひしひしと伝わってくる。
まぁ、フランスの Web サイトなので、その辺は宜なるかな、ではある。
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幸いなことに (?)、リリースの本文と Editor's Note を切り離す程度の良心は持ち合わせているようなので、前者だけ見て、後者はあったとしても読み飛ばすのが通例になった。
感情を持つ生身の人間がやることであり、営利企業がやることであれば、なにがしかのバイアスはかかるもの。本当の意味での完全無欠な中立公正・不偏不党なんてものはあり得ないと思っている。
その辺の考え方は人それぞれ、多種多様であろうけれど。なんにしても、自分で自分のことを「中立公正・不偏不党」っていっちゃう方が、却って信用ならない。と、これはいつもいっていること。
これはもちろん、自分が書くものだって同じ。ただしこれにも 2 パターンあって、自分のシンプルな本音の部分がチラチラと出る場合と、「これはなんとかしてもらいたい」という危機感から、意図的にキツく出る場合がある。
しばらく前に知人と駄弁っているときにいわれたことで。「"耳が痛い話" と "単なる悪口" って違うよね」と。それはまったくその通りであるし、たぶん、その辺の意図の違いは文章の書き方・組み立て方に出ている。書いてる本人が意識しているかどうかに関係なく。
「うわあ、痛いところを突かれてしまったよ」「いわれたくないところをいわれてしまったよ」がトリガーになって、多少なりとも物事を変えていこう、動かしていこうと思うきっかけになってくれれば、書いた方としてもありがたい話。
でも、そうなるかどうかって、これはもう書き方次第のところがある。一から十まで否定して罵詈雑言を浴びせるのでは、たぶんダメで、認めるところは認めるけれどもダメなところはダメという。それが必要なんだろうなぁと。
ましてや、首を取ることが目的になってしまったり、頭を下げさせることが目的になってしまったりすれば、これはもう悪しきスパイラルの典型。どこの業界のこととはいわないけれども。
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難しいのは、こういうのって往々にして、手段と目的がグッチャグチャになってしまい、やってる本人も目的を見失う事態に陥りがちなこと。
「何かを改善して欲しい」と思って批判的なことを書いているうちに、批判的なことを書くこと自体が目的になってしまうようなやつ。それでは、ただの活動家になってしまう。その辺の話は先週に書いているので、繰り返さないとして。
冒頭の話にしても、F-35 計画や LCS 計画に何の問題もなくて完全無欠である、なんてことは口が裂けてもいえない。ただ、良くないところを良くないという、不具合があることはちゃんと認める。一方で、進展があればそれも認める。口でいうのは簡単でも、実行するのはなかなか忍耐と冷静さが要って難しい。
件のニュースサイトのフランス人エディターは、そこのところでちょっと道を踏み外していると思わざるを得ないのだなあ。
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