Opinion : 静かな侵略 (2023/10/16)
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たぶん、個人でも企業でも国家でもその他の集団でも、「分かりやすい形で拳を振り上げて威嚇する」だと、分かりやすく怖がられる。それと比べると、たとえば「滅多なことでは怒らない」人は、えてしてイジられたり、おちょくられたりする。
それが本人が笑って済ませているうちはいいけれども、穏やかな性格の持ち主、普段は滅多に怒らない人がいったん臨界に達すると、たぶん大変なことになる。顔色ひとつ変えずに、容赦の無い報復に出てくるようにことになっても知らんで。
という話は、以前にもどこかで書いたような気がするけれども。
企業の乗っ取りであるとか、他国への侵略・浸透とかいった話についても、目立たない、静かな動きで来られる方がむしろ怖いんじゃないか。というのが今回の話の本題。「静かな方が、むしろ怖い」という共通性がある、とこじつけてみた。
企業を乗っ取るにしても、その他の組織を乗っ取るにしても、あるいは国家を勢力圏下に引き込むにしても。攻撃側が静かに、地味に、目立たない形でシンパを送り込んだり抱き込んだり。あるいは、被攻撃側が攻撃側に依存せざるを得ないような状況をジワジワと作り上げていったり (ことに国家間の経済関係ではありがちかも)。
厄介なのは、地味に目立たない仕掛けで来られると、被攻撃側が攻撃を仕掛けられていることに気付かない、あるいは気付くのに遅れてしまうこと。そういう布石が積み上がっていって、相手が「ヤバい」と気付いたときには、もう身動きが取れなくなっている。そういうのが本当に怖いパターンではないかと。
そういうのを仕掛けるのが得意な個人や組織や国家がある一方では、逆に、苦手とする個人や組織や国家もある。一概に「こういう連中なら得意」「こういう連中ならヘタ」と断じるのは難しそうであるけれども。
逆に、公然とサーベルをじゃらつかせるような形で来られた場合には、受けて立つ側にもそれと分かるので、「これは対抗措置が必要ではないか」と自覚できる。
(そうなったときに、有効な対抗措置を必ず講じられるとはいっていない)
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ところが、こういう「静かで時間がかかる侵略行為」を実行するのは案外と難しい。まず、入念かつ巧妙な作戦を立てないといけない。しかも時間がかかるから、結果がすぐに見えない。途中で状況が変わったときには、素早く打ち手を変えないといけない。
それをコツコツと継続して、伏線を張って回収していくのは、相当に根気が要る話。まず、そんな根気が当事者にあるのかという問題がある。
ことにワンマン経営者や独裁的国家指導者だと、「自分の治世の間に目標を達成しないと」と考えて、早く結果を出そうとして焦ってしまう可能性が出てくる。そういう意味では、集団指導体制であったり、意思を引き継げて信頼できる後継者がいる場合の方が厄介かも。
あと、地味に浸透・侵略を続ける場合、なにしろ地味だから、活動が可視化されにくい。すると仲間内、あるいは後援者に対して説明がつかない… という考えになってしまいそうでもある。常に拳を振り上げてワーワーやっていないとみんな納得できない、組織がまとまらない、スポンサーが納得してくれない、といった類のお話。
そんな具合だから、「静かな侵略」を仕掛けようとしても、越えなければならないハードルはいろいろありそう。でも、それを越えて仕掛けてくるとなれば、それはもう相手がおおいに本気ということだから、やっぱり怖い。
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