Opinion : 海外に出る理由について、つらつらと (2023/12/25)
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少し前のニュースで、「パスポートの保有率が下がっている現状に危機感」みたいな内容のやつを見かけた。
若干の例外があるとはいえ、基本的にパスポートの取得といえば、海外に出る場面で必要となるもの。海外に出る用事があるからパスポートを取得する。海外に出る用事がなければパスポートを取得する理由もない。となるのが、たぶん一般的。
となると、「パスポートの保有率が下がっている」という話が事実であったとした場合、海外に出る用事がない人が増えたとか、海外に出たがらなくなった人が増えたとかいう可能性が考えられそうではある。
すると昨今、円安に加えて燃サがバカ高いので「カネがかかるから行けなくなった」という論も出てくる。すると今度は、「日本が貧乏になった論」とか「失政のせいでカネがないからだ論」が出てくる。
ただしこうなってくると、真偽の程は別として、「あなた日本 sage が毎度の芸風で、都合のいいネタに食いついてるだけなんじゃないの」というツッコミはしてみたくなる。現実問題、朝から晩まで何かの悪口ばかりいっている人の中には、そういう種類の芸風の持ち主をけっこう見かけるし。
ちなみにパスポートというやつ、取得にはそれなりに費用がかかるし、手間もかかる。本籍地が自宅から遠い人なんか、けっこう面倒な思いをしているんじゃないだろうか。とかいってたら誰でしたっけ ? パスポート取得費用を援助するから我が国に来てちょーだい、という国がいるとかいないとか。
ただ、費用とか手間とかいうハードルが事実だったとしても、それはまだ表面的な話で、さらにその裏側があるんじゃないのかなあ。というのが今回の本題。
なにもパスポートの取得や海外旅行に限った話ではないけれど、人間、「これが欲しい」「これをしたい」「これが必要」となるとドライブがかかり、信じられないような馬力が出てしまうことがある。
では、海外に出ることの動機って何だろう。知らない世界を見てみたいとか、本やテレビで観たことしかない何かを自分の眼で見て感じたいとか、そんなあたりがメジャーな動機になるんだろうか。
少なくとも自分の場合はそうで、だから「生でグリペンを見たい」といってスウェーデンまで飛んで行った。し、「カンガルー印の機体が見たい」といってオーストラリアまで飛んで行った。このあいだもアルセナーレンで、本物の農業用トラクター (婉曲表現) や本物の T-34 を生で見ている。
T-34 を正面から見て「なるほど、これは "二階建ての戦車が来た" といわれても不思議はないな」と思った。サイズ感や迫力、雰囲気のようなものは、やはり現物を見ないと伝わってこない。
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そういう、「自分の眼で海外を見ることの価値」が違ってきているという理由はないのかなあと。そんなことを考えてしまった。
コロ助が猖獗を極めていて、海外に出るなんてトンでもねぇ、となっていた時期に、ネット上で世界のいろいろな場所を "仮想訪問" しようというコンテンツがいろいろ出てきた。それに限らず、いろいろな動画を見られる御時世。現地に行かなくてもそれなりに分かった気分になれるのは事実。
でも、やっぱり現地現物。過去に何度もしつこく書いているように、現地に行って現物を見て、現地の空気を吸って、現地の雰囲気に接して、それで初めて分かる物事は必ずある。5 月に RTX を訪れたとき、アテンドしてくださった M さんが「直接来ていただいて、会えたのが良かった」という趣旨の話をされていたけれども、ほんとそれ。
コロ助のせいでビデオ会議を使用する場面が増えたけれども、これもまた、生でやりとりするのとは何か違う。ことにインタビュー取材となると、どうも切り込みにくいというか、反応が伝わってこないというか。これに限らず、「やっぱ生とは違うわ」という種類の話、いろいろあるんじゃないかと。
でも、生で、あるいは現地現物を見ることの違いや意味を認識していないと、「そんなんオンラインでいーじゃん」となってしまう。最近は大人しくなってきたみたいだけど、ひところチョイチョイ見かけた「リモートワーク万能主義者」の事例もある。
その他の分野でも「オンラインでいーじゃん、なんでわざわざ費用と時間をかけて海外まで行くの」となる人がいても、不思議はないんじゃないかしらと。
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