Opinion : 誤情報の流布に対して、できそうなこと (2024/4/29)
 

先週のニュース。「政府が『誤情報』常時監視へ 6月に閣議決定 感染症対策の一環で」

なにも COVID-19 のパンデミックが発端ではなくて、東北地方太平洋沖地震のときだって同じように、ネット上での流言飛語は猖獗を極めていたと思うけれども。ようやく、その気になったのかと。

えっ、疫病みたいな言い方をするな ? 似たようなものである。

ただ、「監視」することはできても、「阻止」はできない。それをやったらどこかの近隣の国と同じになってしまう。すると、「こういうデマが出回っていますが信じないでください」と広報するぐらいが限界か。

現実問題として。そもそもガセネタ・流言飛語の類に飛びつくような人は、「国が正しい情報を広報」したとしても、「国のいうことなんて信じられない」「国のいうことなんて嘘に決まっている」といって聞く耳持たないのではないかとも思える。

実際、政府機関が大嘘を吹聴した事例、皆無じゃない。


そういう事情もあるし、ガセネタ・流言飛語の類に誰も聞く耳持たないような状況を形成するのは、不可能といっていいんじゃないかと。物理的にも論理的にも実現不可能な話はひとまず措いておくとして、別の角度から眺めてみたい。

それは何かというと、「ガセネタ・流言飛語の発生源」。ひとことで「ガセネタ・流言飛語」といっても、発生する動機はひとつじゃない。

まず、自分の商売に結びつける目的で、意図的にガセネタを吹聴して回る人がいる。この場合、本人が本気で、そのガセネタの内容を信じているかというと、果たしてどうか。もしかするとたまには、嘘を嘘と承知した上で商売のために流布する事例もあるかも知れない。

この、露骨に商売に結びつけるパターンであれば、ガセネタそのものというよりも商売の側から、押さえ込めないものだろうかとは思った。

次に、まず結論や方向性が先に決まっていて、それに合わせて都合のいい話をでっち上げるパターン。後は、信念とか真偽の程とかいうのとは別次元で、面白半分にやる人も、ひょっとするといるかも知れない。

では、その手のガセネタに飛びつく人の方はどうか。こちらでもっともポピュラーと思われるのは、まず結論や方向性が先に決まっていて、それに合わせて都合のいい話を探して、飛びつく人。これは「反○○」にドはまりした人にありがち。

あと、ガセネタの発生源が一種の「教祖様」になってしまい、それに対する一種の信心から、「教祖様」の言をオウム返しに繰り返す。どこかの党の支持者に、しばしば見られるパターン。

基本的に「受け手」の側はガセネタに騙されるというよりも、都合のいいネタ、信じたいネタを求めた結果としてガセネタに釣られるパターンが多いと思われ、そうなると外から何をいっても聞く耳持たない。ガセネタ以前のマインド セットの問題だから。

すると、こちらに対して何かしようとするのは労力の無駄遣いでしかなさそう。


先にも書いたように、ガセネタの発生や流布そのものを物理的に阻止するのは、できない相談。ガセネタに喜んで飛びつく人を阻止するのも、これまた難しそう。となると、まずは「ガセネタが出てきたら、すかさずカウンターを放ち」「まっとうな人がガセネタに転ばないように食い止める」が現実的な対応かと。

一般的な傾向からいって、過激なガセネタ、いかれたガセネタに飛びつくような人は、周囲の世の中が思い通りの方向に動いてくれないと、ますます過激化・尖鋭化する傾向がある。それなら逆手にとって、過激化・尖鋭化してマジョリティからソッポを向かれるような状況に持っていけば、少なくとも被害拡大は抑えられるのでは。

つまり「火を消す」よりも「延焼を食い止めて他と引き離す」アプローチ。(そりゃもちろん、火を消せるならそれに越したことはないけどさ…)

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