Opinion : 変化へのチャレンジと背骨 (2024/8/19)
 

相も変わらず、Twitter なんかで「リモートワーク至上主義者」が暴れているのを見かけることがある。

フリーランスの物書きっていうのは、COVID-19 が猖獗を極める前からリモートワーカーみたいなもの。それ故に、パンデミックに見舞われた後も、さほどの違和感なく仕事を続けることはできた。

ただし、現場現物の取材ができなくなったのは痛手で、それが可能になってホッとしている。RTX の方が話していたことだけれど、やっぱり直接、当事者同士が顔を合わせるのって大事なのである。

ただ、どんな仕事でもリモートで用が足りるわけではない。仕事の内容からして物理的に不可能ということもあるし、保全の関係でリモートにできない場合だってある。そういう事情を無視して「リモートにしないのはアホ」みたいな論調を展開するのは、まぁ視野が狭いというかなんというか。

「ウチでできてるから他所もできるはずで、それをやらないのは怠慢、時代遅れ」と単純に断じるのは、ちと視野狭窄に過ぎませんかねと。


といっても、逆方向の問題もある。新しいものを、新しいやり方を、何でも手当たり次第に否定するのは、それはそれで大問題。過去にうまくいったやり方が、将来も通用し続けるなんていう保証は、どこにもない。

いろいろな業界の、いろいろなポジションにある方を取材して、お話を伺っていると、「もう従来のやり方ではうまくいかないから、変えていかなければ」といって新たなチャレンジに取り組んでいる場面に出会うことがある。

もちろん、そのチャレンジが必ず当たる、成功するという保証はないにしても、それは何も変えない場合だって同じこと。それなら、まずはチャレンジしてみて、うまくいかなければ軌道修正する… そういうアプローチの方が、長期的に見て正解じゃないかというのが、個人的な意見。

「ここで変えても、それが上手くいくという保証はないじゃないか」といって何も変えようとしないよりは、ね。

ただ、新しいチャレンジをするといっても、そのとき、そのときのトレンドを追いかけては使い捨てるだけだと問題があって。たぶん、そういう無節操・無定見な取り組みは結果につながらない。リモートワークがトレンドだと見た途端に、リモートワーク至上主義者になるようなもん。

まず、的確な現状認識。そして、そこから目指すべきエンド ステート。両者を結ぶ現実的なロードマップ。それを実現するための戦術とツール。そういう材料が揃った上での新しいチャレンジなら分かる。

その新しいチャレンジも、単に奇抜さで話題を作り、人目を引くだけでは「一発屋」に終わる可能性が高いのでは。まずは、明確なビジョンや思想などといった「背骨」を一本、ビシッと通しておかないと。表面的な見た目の部分に変化があっても、その背景にある思想は終始一貫している、というような。それができていないとフラフラする。

逆にいえば、状況判断次第では、その「背骨」に立脚して「うちはうちのやり方で通す、何も変えない」というアプローチだってあり得る。そういう理由で変えないのなら、それはそれで分かる。「変えたくないから変えない」「変えて失敗するのが怖いから変えない」なら話は違うけれども。


個人でも企業でも政党でも何でも、その「背骨」がちゃんとしているかどうかを見定めた上で、日々の言行を見ていかなければならないのだろうなあ、なんてことを思ってみたり。

逆に、その場その場のトレンドに乗っかってるだけだと「ダメだこいつ」となる。実際、そういう軟体動物みたいな (なんて書き方をすると、軟体動物に失礼か) 個人や政党もいるわけで。

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