Opinion : "点" ではなく "面" で俯瞰するということ (2024/9/2)
 

先日、連載「軍事と IT」でイギリスのリバプールにあるウェスタン アプローチ管区 (が転じた博物館) を取り上げた。

この施設、不覚にも存在を知らなかったのだけど、宿探しのためにリバプール市内の地図を眺めていたら発見。「これは行くしかないっ !!!」といってスケジュールに組み込んだもの。そして実際に行ってみたら大当たりだった。


これに限らず、なんとなく地図を眺めていたら発見をした、という類の経験はいろいろある。

お出かけをしている、あるいはお出かけの作戦を立てる過程で、「発地」と「着地/目的地」という、いわば p-p (point to point) で物事を見ていると、その中間の経由地、あるいはその周辺の話は見落としてしまいがち。でも、地図を広げてあれこれ眺めていると、思わぬ発見をすることもあるというわけ。

無論、「必ず、思わぬ発見が発生する」とはいっていない。ただ、発見がなくても、地図を参照しながらウロウロと歩き回ってみることは、現場の雰囲気あるいは空気を感じ取るのに役立つ。リバプールでもニューヨークでもそれをやったし、日本国内でもまた同様。

クルマは door-to-door の移動手段としては最強。すると途中の過程を見落として、素通りすることになってしまうのではないかという指摘もある。

ことに当節にはカーナビという便利なものがあるから、カーナビにいわれるままに「右に曲がって、左に曲がって、目的地に到着して、ハイ終了」とやっているだけだと、確かにそうなりそう。

でも、カーナビの画面には地図が出ているのだから、その地図を見つつ、移動経路の周辺状況まで視野に入れるようにすれば、話は違ってくるんじゃないかと。

それもあって、個人的にはカーナビの地図画面、あまり詳細な倍率にしないようにしている。100m スケールなんて、滅多に使わない。だいたい 400-500m スケール。もちろん、道が複雑に入り組んだ、ややこしいところに入り込む場合は例外なれど。

いうまでもないことだけど、走行中の長時間画面注視は危ないので止めましょう。

あと、単にカーナビにいわれる通りに走るだけでなく、走ったルートを後から地図で復習する。これ重要。こうすることで道を覚える役に立つ。


それで何をいいたいのかといえば、単純に「A 地点と B 地点」だけ見てるのではなくて、その周辺であるとか、両地点を結ぶ過程であるとか、その過程の周辺であるとか。そういうところにも目を向けた方がいいよね、ということ。移動・旅行の場合、そのための最良のツールが地図なんである。

地図から読み取れる情報は、なかなか幅が広いので、ときには「えっ、そんなことが」ということも起こり得るし、それがまた楽しい。というか、それを楽しめるようでありたい。人生だって脇見や寄り道が楽しいことがある (かもしれない) し。

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