Opinion : 装備調達と政治の口出し (2024/9/30)
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先日、自民党の総裁選があって、フタを開けてみたら「石破新総裁」という結果になった。石破氏、11 年前に上り「あけぼの」に乗ったときに同じ列車に乗り合わせていて、高崎で打ち切り・新幹線振替となったときにグリーン車で新聞を読んでいる姿を見かけたのが記憶に残っている。
とまあ、そんな話はどうでも良くて。
「石破新総裁」の話が出た途端に、「またぞろ、自衛隊の装備調達に余計な口出しをするんじゃないか」みたいな声がワラワラと出てきた。過去の実績がそう思わせるのだという声もある。でもね。というのが今回のお話。
実のところ、自衛隊の装備調達話に政界関係者が口を挟むのは、なにも一部の特定個人に限った話じゃあない。現に「政治案件」という言葉もあるぐらいだし、ときどき、その政治の介入が、何かの拍子に露見したり、汚職事件みたいな形で注目を集めてしまったりする。
そして、「これを買え」だけが介入とは限らない。要石になるはずだった案件をぶち壊しにした挙句、時間と経費とリソースを冗費させた事案もあるわけで。いまさら誰のこととはいわないけれども。
たまたま、この業界に「メディア関係者」の端くれとして関わるようになった結果として、そうした「政界関係者の暗躍」の切れっ端ぐらいは自分のところまで飛んでくることがある。普段のお仕事では技術分野の話を主体としているからか、そう頻繁に飛んでくる訳ではないけれども。
セイロン紅茶じゃなくて正論からすれば、「政治家は装備調達に口を出すより先に、やらなきゃいかんことがあるだろう」となる。
以前からあちこちで言ったり書いたりしているように、いかにして生き残っていくかという、国家としての理念、戦略、エンド ステートみたいな話を決めることこそが、本来の政治の仕事だと思っている。そこに制服組が過剰に口を出すと、それはそれでおかしなことになる。
ただ、対外政治の観点からすればそれは正論なれど、対内政治の観点からすると話が違ってくる。支持基盤とか経済政策とかいう問題も関わってくるから。それはアメリカの政界を見ればよく分かる話で、まあ清々しいまでにあからさまな我田引水のぶつかり合いを、毎年のように予算審議の過程でやっている。
たぶん、あまり話題にならないだけで、その他の国も事情は似たようなものなんだろうなと。
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ただしアメリカの場合、「うちの地元のメーカーに仕事を引っ張る」話だけではなくて、たとえば「艦艇建造時の溶接不良問題をなんとかしろ」なんて話が議会で俎上にのぼることもあって。議会が制服組の尻を叩いている部分がけっこう目立つのは、アメリカの面白いところ。
だから、開発に難航している装備調達プログラムがあると、責任者が議会に呼びつけられて質問攻めに遭う、なんてことが普通に起きる。かの国のプログラム マネージャは、それを乗り切れるぐらいでないと務まらない。
一方で。国によっては、新たな装備調達案件… どころか新たな大口契約が出る度に、国防省が「雇用創出効果がほげほげ人分」とリリースに書くぐらいに、軍の装備調達と国内経済は不可分の関係にある。すると、国の経済政策との関わりは必然的に発生して、そこで政治が首を突っ込む素地ができる。
そんなわけで、「なにも心配しなくていいよ」なんていうつもりは毛頭ないけれども、殊更に「石破新総裁についてだけ心配する」のもどうか。と、そういう話だと思っている。常に「政治サイドからのおかしな口出し」にはお引き取り願いたいと、そういうスタンスで。
あーそれにしても AAMDS をめぐるドタバタは頭にくる。
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