Opinion : メリハリ (2024/11/11)
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しばらく前に護衛艦「あさひ」を取材で訪れたときに、何人もの乗組員の方から異口同音に出てきた言葉が「メリハリ」だった。
そういえば、「海上自衛隊員の作り方」という本の中にも、「キューキューダラリキューダラリ」という見出しをつけたセクションがある。内容は読んで字のごとく。訓練や演習などでネジを巻くこともある一方で、ちゃんと休むことも必要よ、といった趣旨だったと思う。
フリーランス稼業に転じて四半世紀ほど経つけれど、この形で仕事をしていてひとつ「助かるなあ」と思うのは、ある程度は自分で仕事のコントロールが効くこと。「余裕があるときにネジを巻いて、進められるだけ進めておこう」とやることがあれば、逆に、ホイホイと遊びに出てしまうこともある。
もっとも実際のところ、遊びに出ているようでいて、実際には仕事のための調査やネタ拾いや資料集めということが多い。それに、お出かけ中でも連載の原稿に手を入れたり、突発で何か発生したりすることはある。
だから、オンとオフの境界はまことに不明確なれど、それでもオプテンポの高低を自分でコントロールする余地はある。
まれに「ちょっと多忙なので」ということで「ごめんなさい」を余儀なくされることもある (そう頻繁に発動するものではないけれども… 本当だってば !)。それに「ごめんなさい」を受け入れていただけるのは、それができるだけの素地が存在するからでもあって (←自分でいってるし)。
ことに、10 年前に病気をして 3 ヶ月ばかり入院させられてから、「無理しないこと」というか、メリハリということを意識するようになった。面白いからといってあれもこれもと抱え込んだ挙句に、身体を壊したら身も蓋もない。書き手の代わりはいても、自分にとって自分の代わりはいない。
だから、そういうタイミングでしつこく「うちで仕事をしてもらえませんか」って迫っても、却って印象が悪くなるんだってば。
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ただ、「俺が社長で俺が社員」だからコントロールが効くけれども、組織の中で仕事をしていたら、そうも行かない。すると、マネージメント層がちゃんと気配りをしないと、現場が疲弊する。それだけでもよろしくないけれど、さらに、士気が下がったり事故が起きたりすれば、ますます組織全体のパフォーマンスが下がる。
ときには、マネージメント層にあんぽんたんがいて「組織のパフォーマンスが下がっているから、さらにネジを巻かなければ」となる場面もあるんじゃないだろうか。きちんと原因を取り除かないと、逆効果になりかねない。
その「マネージメント層のあんぽんたん」に限らず、我が国ではどうも「いつでも全力稼動してないと許さん」みたいなことをいう人が多くいるように思う。でも、それは結局のところ組織のパフォーマンスを下げるだけ。
むしろ、メリハリをしっかりつけて「やるときはやる、休むときは休む」さらには「ちゃんと休ませる」まで持って行かないと。それをするには、配員・補職の問題だけでなく、仕事のプロセスとか段取りを常に改善していくことが必要で。
ぶっちゃけ、戦力が自分ひとりのフリーランス稼業では、プロセス改善・段取り改善を常に意識していないと、身が持たない。
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