Opinion : 目的達成意識と柔軟性 (2024/11/18)
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なにかアクションを起こすときには、「○○を達成するために△△をする」というアプローチと、「△△をやって、結果的に○○を達成する」というアプローチが考えられる。最近、自分が旗を振っているミッション エンジニアリングは、いうまでもなく前者。「達成すべきこと」から逆算して、最適と考えられる手段を追求する。
「△△をやって、結果的に○○を達成する」を全面的に否定する必要はないけれども、これにはひとつ、付帯条件があると思う。
それは、「△△をやった」ことによって「○○に向けて進んでいるか、達成できているか」を常に検証すること。前に進んでいるつもりが、いつの間にか脇道に逸れていたなんてことになれば、放置したら具合が良くない。軌道修正しないといけない。
それに、あるタイミングでは目的達成のために有用と考えられていた手段あるいはアクションが、その後の状況の変化によって、いつのまにやら通用しなくなっていた、なんていう類の話はよくある。戦争でもビジネスでもなんでも。
第二次世界大戦中のヨーロッパでは、連合軍とドイツ軍の間で熾烈な電子戦が展開されていたけれども、これなんかもう、次々に状況が変わり、新たなツールや戦術が出てくる。ある時点で猛威を振るったツールが、しばらくしたら敵の対抗手段によって使い物にならなくなっていた、なんて話はいくつもある。
そこで「過去には通用していたじゃないか」といって同じ手を繰り返しても、結果は出ない。現状を正直に認識して、受け止めて、対抗手段を考えないといけない。どれだけ柔軟に、固定観念や先入観に囚われないで対応できるか。
それがすなわち、「○○に向けて進んでいるか、達成できているか」を常に検証するこということ。
となると実は、同じような教育、同じようなキャリアを積んだ人だけ集めていたのでは、思考が硬直化して、非常にまずい。暗号解読なんかもそうだったけれど、そのときどきの状況に合わせて、必要と思われる人材、役に立ちそうな人材を集めて、活用できる方が強い。
すると、ときには奇人変人の巣窟ができることもある。でも、それぐらいのことは許容しても結果が出ればよろし、といえるかどうか。「そんな軍人精神を欠いた連中に任せるわけにはいかぬ」となってしまわないか。
進行中の案件だと、ことにサイバー電子戦は、思考の面でもマネージメントの面でも、もっとも「柔軟性」が求められる分野であるはずなので。
それと比べると、クリティカルに見えないかも知れないけれども。人事でも経理でも広報でもなんでも、「いまやっていることが、意図した結果につながっているか。つながっていないとしたら、どうすべきか」を常に考えなければならないのは、同じではないのかなぁ。
もちろん、リスクをとって新たなチャレンジをするよりも、前動続行で同じことを繰り返している方が、「失敗に対する不寛容」に対しては適切な対処といえるかも知れない。でも、それがもっと大きな失敗につながるリスクを内包していたら、どうすんの。
うまくいかない、結果につながらないだけでもどうかと思うけれども、さらに、トラブルのタネを撒いていたり、実際にトラブルが起きたりするようになれば、放置できなくなる。そこで弥縫策に終始するか、ゼロベース & 目的指向で再考するか。
なんてことを考えてしまった週末だった。いろいろ読んだり聞いたりしていた結果として。
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