Opinion : こんな御時世だから大変屋に注意 (2025/3/10)
 

「トランプ大統領が、こんな発言をした」に対して、いちいち騒がないで。とは最近の持論。そもそも論として、三日ともたずに発言や行動がひっくり返ることが、一度や二度ではないのだから。

とはいえ現実問題として、昨今の世界情勢など見ていると、以前なら「まさかそんな」と思ってしまいそうな出来事が発生する場面が、いろいろ目についているのは事実。

ただ、それだからこそ「大変屋」が跳梁跋扈するリスクも大きくなっているんじゃないか。というのが今回のお題。


いわゆるニュースバリューとか「引きの強さ」とかいう観点からすると、送り手の側は「何も変わらない」「いつもと同じ」といった穏当な話よりも、「激動の時代」「前途がどうなるか不安」などと感情を掻き立てる路線に飛びつきたくなる。そして受け手の側も、ついそういう話に眼が行ってしまう。

すると、そこに「大変屋」が付け入る隙ができる。この種の話を定量的に表現するのは不可能だけれども、無理矢理に数値化すると「10 ぐらいの変化が起こりそうなときに、50 とか 100 ぐらいの変化が起こりそうだと煽り立てる」のが大変屋。[数字はテキトーだけど、要は「大袈裟に煽り立てる」という意味]

規模を大袈裟に言い立てるだけでなく、疑心暗鬼を煽り立てるのも、また「大変屋」ということになる。例を挙げるならば、「もう○○は信用できない」「もう○○には頼れない」といった類のやつ。

信頼・信用はするけれども、それに無条件に寄りかからないで常に維持する努力をする、常に検証はする… というぐらいが現実的な落としどころ。でも、なぜか両極端に走って、ベッタリ依存した挙句に、ちょっと裏切られただけで、もう「ウキー !!」となってしまうのは、けっこうありがちな展開では。

ことにネット空間では、極論がエコーチェンバーの中で行ったり来たりして増幅を重ねた挙句にドカンと放出される、レーザー光の照射みたいな現象がチョイチョイ起きる。そういう場面と「大変屋」は、まことに相性がよろしい。増幅装置付きの拡散波動砲みたいな話になる。


これから起きる… というよりは、すでに起きていそうな話であるけれども。その「大変屋」を活用した世論工作、不安定化工作、分断工作。そういう事態に対して、注意しないとヤバい。そういうフェーズにいるんじゃないかと思っていて。

人心が不安定になったとき、前途になにがしかの不安を感じているときって、それにつけ込もうとする輩が出てくるのはよくある話だから。

もっとも、こうした注意喚起もまた「大変屋」にならないように、極端に走りすぎないように、気をつけないといけないというパラドックス。大声のあげすぎ、盛り立てすぎになると、同じ穴の狢になってしまう。

だから「あなたの隣に工作員がいる !」みたいなことはいいたくないし、いうつもりもないのだけど。ただ「大変屋」と「極論」が流れてきたり、目に入ったりしたときには、ちょいと気をつけた方がいいんじゃないかなあ。と、それだけ。

そもそも以前から、「拡散したくなるような話ほど要注意」てな話もあるわけだし。

そこでひとつ効果がありそうなのは、「ニュースのトレンドに蓋をして、見ない」ことではないかと。大変屋が真っ先に利用しそうなのは「世間の耳目を集めやすいニュース」であるから。

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