Opinion : 自分の頭で調べて考えることは重要 (2025/5/26)
 

子供の頃に、一族総出で (というほどでもなかったか ?) 草津温泉に行った記憶がある。そのときには急行「草津」で長野原 (当時) まで行って、そこからバスに乗り換えたのだったか。まぁ常識的な経路ではある。

ところが最近、吾妻線に乗るところまではいいとして、途中の羽尾で乗り換える人が続発しているというニュースがあった。その珍事を引き起こした犯人は Google Maps。Google Maps で経路検索すると「羽根尾乗り換え」が筆頭で出てくるのだという。

「なんでそんなことに」と思ったら、長野原草津口からの JR バスに関する情報が Google Maps に入っていなかったから、ということらしい。データは事業者側から提出する仕組みなので、提出していなければ情報は載らない、よって経路検索にも反映されない。そんな話が Twitter で流れてきた。

しかしさあ。


経路検索のサービスというものがあれば、それを信じて使ってしまうのも分からんではない。自分みたいに猜疑心が強くて、「Google Maps は参考に留めて、最後は当事者の Web サイトに行ってみて、時刻や経路を最終確認する」という人ばかりとは思えない。

某グループみたいに、自社 Web サイトでの情報公開そのものが怪しいと仄聞する事例もあるけれど、それはまた別の話。

それに「Google Maps は存在を知るための道具に留める」といっても、そこにベースとなる情報が載っていなければどうにもならない。結局のところ、「Google Maps にばかり依存しちゃって大丈夫なの ?」という問題は変わらない。

とかいっていたら、今度は「AI が、件の写真の初出はいついつだといっているから、それが正しいはずだ」と主張する人が出たり、「AI にファクトチェックを丸投げする」人が出たりしているそうで。なんでそんなに AI を無邪気に信用できるんだろう。

この辺の話、根っこのところは以前に書いた「おすすめ問題」と同じで、サービス側に判断を投げてしまうというか、依存してしまうというか、つまりは「自分の頭で考えない」「与えられた情報を無条件に信じてしまう」といえるんじゃないかしらと。

もっとも、AI やネットサービスにばかり依存しているわけではなくて。

たとえば、何かの政治的主張に与するのに、自分の頭で調べたり考えたりする代わりに、いわば "教祖様" にあたる人物などの発言や投稿をオウム返しに繰り返すだけ、コピペするだけ、という人をチョイチョイ見かける。最近だと DSEI Japan がらみで出るわ出るわ。

もちろん、「ググれカスどころかググったらカス問題」みたいなのもあるから、検索すれば正解が見つかるという保証はない (まあ、これは調べ方にもよるのだけれど)。とはいえ、「情報のまとめ」に依存するだけでなく、自分で頭を使って調べたり考えたりする方がマシだろうに、とは思っている。

それで必ず正解に行き着くという保証はできないけれども、普段から「自分の頭で考えて、調べて、正しそうな情報を拾い出す」トレーニングをしておかないと。そういうのって、一朝一夕には身につかないから。


ここまで書いたところで、ふと思いついた話。カーナビでも、「地図ではなくて名前で目的地を指定したら、指定ミスでトンでもないところに連れて行かれてしまった」なんて話が、実在しやしないかと。

中〜小縮尺の地図で広い範囲を見ていれば、全体状況から「間違った方向に向かっている」と分かりそうなもの。でも、大縮尺の地図で狭い範囲だけ見ていると、全体状況がお留守になってしまう。

すると、自分がどこにいて、どちらに向かっているのかが分からず、いわれるままに右に曲がったり左に曲がったり。その挙句に、本来の目的地とはまるで違うところに連れて行かれてしまったら悲劇。これも一種の「自分の頭でちゃんと考えようね」なのかも知れない。

Contents
HOME
Works
Diary
Defence News
Opinion
About

| 記事一覧に戻る | HOME に戻る |