Opinion : ワークライフバランスとメリハリ (2025/10/6)
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自民党の高市新総裁が「全員に馬車馬のように働いてもらう。私自身もワークライフバランスという言葉を捨てる」と発言したら、それを叩いている人がいるらしい。
いきなり身も蓋もないことを書いてしまえば、これは「進次郎が総裁になると思っていたのに、思い通りに行かなくてキーッ」という、いわば「高市嫌い」が火を点けた一面が背景にあると思っていて。
たぶんこれからも、似たような形で「言葉尻を捉えての高市おろし報道」が続発するのではないかしら。
それはともかく。ワークライフバランスという言葉である。
自分自身、調子に乗って仕事しまくっていたら身体を壊し、3 ヶ月ばかり入院させられた経験があるので、「働き過ぎて身体を壊す」ことの問題は骨身にしみて理解しているつもり。このまま放っておいたら死んでしまうぞ、って叱られたぐらいだから。
ただ、単に平準化して「余暇時間を増やしましょう」だけの話なのかなぁと。ときには、寝食を忘れかねないぐらいの勢いで、全力稼動しないといけないこともある。それは事実。ただ、ずっとそれをやっていたら死んでしまう。
だから、「働くときはバリバリ働くけれども、休むときはちゃんと休む、余裕を持たせる時期も作る」と。それがホントのワークライフバランスってやつではないのかなぁと… そんなことを思った次第。つまりはメリハリの問題。
今の物書き稼業も、いきなりパッと湧いて出てきたわけではなくて。若い頃にあれこれと、手当たり次第にいろいろなものを読み漁り、詰め込んで、蓄積したものが、基礎というか土台になっている。そういうのは、それこそ全力稼動でやらないと。
だから、学生の頃は空き時間があると図書館に籠もる生活をしていた。そのせいで失ったものもいろいろありそうだけれど、いまさらそれを蒸し返しても仕方ないので、考えないことにしている。いま自分が手にしているものを大切に。
ただ、若い頃に積み上げた貯金だけで一生やっていけるかといえば、それは無理。新しい積み上げは、当然ながら必要。すると、そのための充電期間というか、余裕のようなものも必要になってくる。繰り返しになるけれども、ワークライフバランスって、そういう話でもあるんじゃないかと。
物書き稼業に限ったことではないだろうけれど。最初に興味を持った分野にだけ固執するのではなくて、他の分野、周辺領域にも手を広げてみたら、それが結果として新たな境地を開いて大当たりということもある。ときには、一見したところでは仕事と関係なさそうな話であっても、後になってすごく役に立った、なんてことも起きる。
その過程で、過去にバラバラな形 (と思われる) で自分の中に溜まっていたあれこれが、何かの拍子に結びついてドッカーン、とかいうことも起こる。
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あと、本で読んだだけ、話を聞いただけではなくて、実際に自分が現場や現物を見て、体験することも重要で。そうしないと「自分の意見」「自分の見方」ができず、血肉にならない。そして、たとえば何かの取材に行って話を聞いたときに、報道発表資料の内容を右から左に流すだけの伝声管になってしまう。
その「実際に自分で経験・体験してみる」「自分で使ってみる」もまた、時間と投資が必要になるのだけれど。ただ、それをやらないと貯金を食いつぶすだけになってしまって宜しくないから。
ただ、ここまで書いてきた話は、自分で自分の仕事をある程度はコントロールできる、自営業だから通用するのも事実。組織の中で働いていると、自分の一存だけでは調整できないのがつらい。だから、そこのところをマネージメント層がちゃんと気に留めて手を打たないと、いずれ、その組織は機能不全を起こすんじゃないかしらん。
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