Opinion : しつこいけれども、手段より目的を見るべき (2025/12/8)
|
もうだいぶ前の話だけれども、韓国海軍のフネが海自の哨戒機に向けて射撃指揮レーダーを作動させる事案があった。このとき、「そもそも射撃指揮レーダーって何ですか」という記事の依頼をいただいたので、それに沿ったものを書いた。
これは純然たる技術的解説の依頼だったから、その通りに書いた。ただ、もうちょっと視座を上げると、「射撃指揮レーダーって何ですか」だけの話では済まない。
それで何の話かといえば、中国海軍の空母「遼寧」の搭載機が空自の F-15 に、射撃管制レーダーの電波を照射したというニュース。
いつもの「事故と戦争の第一報は静観する」につき、事実関係については様子見を決め込んでいるけれども、この件にしてもやはり、技術的解説の話だけでは済まない。
そもそも、これに限らず… いやそもそも軍事的なものに限らず、「誰かが」「何かを」をするのは、それを通じて「何らかの効果を得たい」「何らかを達成したい」からである。この作戦用務じみた話、わりと最近に別のところでも書いたような気がするけれども、重複は気にしないことにして。
そして、単に中国海軍の J-15 搭乗員が何かをやらかした、という単発の出来事だけではなくて。それより前から、外交部や御用報道機関などを通じて仕掛けてきているあれやこれやも含めて俯瞰してこないと、全体のコンテキストは見えないんじゃないかしらと。
もちろん、我々はプー 2 号の脳内をのぞき見て、意図を知ることができるような水晶玉を持ち合わせているわけではないから、せいぜい、推測することしかできない。それは仕方ないけれども。
少なくとも、手段の話に気を取られるよりは、目標、目的、効果といった視点が必要だと理解しているだけでも意味があると思っていて。
それはなぜかといえば、こちらの対応あるいは対抗手段を考えるときに、ピント外れなことをしないため。「射撃管制レーダーを作動させない」とか「射撃管制レーダーを妨害すればいい」とかいう話に向かってしまえば、それはたぶんズレてる。
そうではなくて、「こうした行為を通じて北京が得たい効果、達成したい何らかがあるならば、それをくれてやらない方法、達成させない方法は何か ?」と考えないといけない。
それは、外交部が SNS を通じて仕掛けてきたあれこれについてもいえること。私見ながら、そこで挑発に乗って怒ってしまうのは下策だと思っていて。むしろ、挑発を空振りさせる手を考えないと。ただ、国内世論の分断については、個人個人の考えが関わる話になるので、対応が難しいけれども。
あと、北京が相手によってどういう風に打ち手を使い分けているか、なんてことも観察してみた方がいいかと。日本、アメリカ、韓国、台湾、フィリピン、ベトナムなどの諸国に対して。それぞれ何をしているか、何をしていないか。
そしてこれまた繰り返しになってしまうけれども、とにかく「こちらが悪者になってしまうようなことはしちゃいかん」に尽きる。この件を利用して、いかにして北京が悪者になるように話を持って行くか。タイミングがいいことに (?) ドイツ軍にはレーザー照射を仕掛けたなんて話も出てきたから、こういうのも世論形成の材料になる。
SNS におけるあれこれにしても、怒って罵詈雑言なんか浴びせたら、こちらが悪者にされてしまう。外交部風ジェネレータでおちょくるとか、(もう 11 月 25 日は過ぎてしまったけれども) 卵チャーハンの画像を投げつけるとかいう方向でひとつ。
え、手元に卵チャーハンの画像がない ? いや確かに、近所のスーパーで冷凍食品売場をのぞいてみたけど (のぞいたのかよ !)、卵チャーハンと題した商品はなかった。でも、そういうときこそ生成 AI の出番では (真顔)。
|