Opinion : 難しいこと (2025/12/15)
 

ロバート J.サーリングの航空業界小説で、某機長が「うちの会社はもっと英国人を雇うべきだ。英国人ならまわりがみんな熱くなっているときでも冷静だから」という趣旨のことをいいだすくだりがある。

これを読んだのは 40 年ぐらい前の話なのに、なんだかそれがずっと印象に残っていて。


実際に英国の人がそこまで冷静なのかどうか、についてコメントするには、サンプル数が少なすぎるのでノーコメントとして。

実際に現地に行ってみると、歴史の重みとか伝統みたいなのを自然に出してくるのは、アメリカと違うところだなあと思うけれども。いやこれ本題と関係ないし。

ただ、どこの国の人がという話を抜きにしても、この「まわりがみんな熱くなっているときに、ひとり冷静を保つ」。これは難しい。ほんと難しい。実現できたらいいなあと思うけれども難しい。

ことに SNS という空間。なんらかの「空気」ができると、一気にそちらに向けて雪崩を打ってしまう傾向がありがち。というか、サービス提供側がそれを煽っているまである。意図的にエコー チェンバーを作り出しているといってもいい。そこで抗うには相当の意志の力が要る。

うちの Threads のおすすめ欄なんか酷いもので、民航業界相手の愚痴と憤懣と自慢話が入り乱れた、救いようがない空間が醸成されていて見るに堪えない。そんなのばかり見ていたら自分まで汚染されそうだから、とっとと切る。これは、サービス側が意図的にやっているとみて間違いないやつだけれども。

これは極端としても、ミート スペースも含めて、やはりその「まわりの空気に流されないで自分の信念を堅持する」のはエネルギーが要る。相応に歳を食って「自分のやり方・自分の流儀」があってもそうだから、若い子なんか大変じゃないだろうか。


ただ、流されないとか冷静さを保つとかいう話になると、わざわざ抗えば、それはそれでゴタゴタしそうでもある。「こんな怪しからん話があるのに、なんでアンタは怒らないんだ」と食ってかかってくるような人はきっといる。

となるとやはり、「要らんものはコメ兵に売る」もとい「要らんものは黙ってスルーする」能力が求められるってことなんだろうと思う。あと、ネット空間なら、ブロックするとかミュートするとか回線切って風呂に入って寝るとか NG ワード指定するとかいう手もあるけれど。

なんにしても、意識してその「周囲の不必要な熱さ」から距離を置く。そういう工夫でもしないことには、みんな壊れちゃうんじゃないかしらと思える。あと、その「周囲の熱気に無意識に浸って流される」ことは、群集心理で良からぬ行為に手を出す原因になることもあるし。

あと、表面的にとこだけ見て熱くなってると、肝心要の重要なポイントを見落とす原因にもなると思うわけですよ。

なんてことをグダグダと書きたくなったのは、先週から続いてる「レーダー照射事件」に対する、あれやこれやの反応が眼に入ってくるから。とにかくみんなもう少し落ち着いて。

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