Opinion : 商戦は見世物じゃない (2026/2/16)
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「軍事研究」誌の最新号で、海自のイージス DDG に関連する話をいろいろ書いた。イントロは、直近のホットな話題ということでトマホーク搭載の話。しかしトマホークを搭載するためには TTWCS が必要で、ではその TTWCS とイージス戦闘システムの関連は… と話を展開すると、結局はイージス戦闘システムのアーキテクチャの話になる。
そしてもうひとつのホットな話題が、「こんごう」型の後継。すると注目を集めやすい話題としては、「レーダーはどっちになるんだ」という話。するとここでもイージス戦闘システムのアーキテクチャの話が絡んでくる。だから、そちらの話もちゃんと書いた。
自分の場合、過去にもこの手の話を取材したり調べたりしているから、最新の情報を問い合わせはしたものの、基本的にはサクッと書けた部類。ただしあくまで、技術的な話を切り口とするスタンスは不動のもの。そういう話を、調べたり聞いたり書いたりしている方が性に合う。
ただ、これはあくまで切り口のひとつ。そして、一般向けに広くウケる種類の話といえるかどうかは分からない。
もちろん、筋論としては「C&D とレーダーを分離したことの意味」っていうのは、何かと注目を集めやすい「レーダーの機種選定」の話と関連おおあり。だけど、「そんな小難しい話は分からない or 興味がない」という方もいらっしゃるだろうし。
その辺の事情は、たぶん書き手というかメディア側も同じで、人によっては「メーカー同士が激突する売り込み合戦」みたいな構図を好む、あるいはそういう切り口で記事にする人もいる。そこはその、「表現の自由」だから、どういう切り口で攻めるのも個人の自由。
なんだけども、その「メーカー同士の激突」とか「誰それが誰それとナニしてアレしてフンダラカンダラ」みたいなドロドロした話ばかり注目されると、さすがにそれはどうもなぁ、と引いてしまう。そちらの方が見世物としては面白いかもしれないけれど、見世物じゃないんだぞと。
もっとも、冷静に考えると、当の自分もメディア側の人間である以上は、その「誰それが誰それとナニしてアレしてフンダラカンダラ」に巻き込まれる可能性はあるし、実際、そういう出来事の心当たりもある。他人事じゃない。
そのドロドロ話に首を突っ込むか、引き下がって自分のスタンスを固守するか。そういうときの話の受け方と言うか身の処し方というか、そこのところが問題であるなという自覚は持っているつもり。
あくまで自分の仕事は「中の人と外の人の間に入る通訳」であって、材料を出すのが仕事。それを見て結論を出すのは、自分が書いたものを読んでいただいた皆さん。と、そういうスタンス。だから、そこでドロドロ話を面白おかしく取り上げる理由も意味もないわけですよ。
だから、自分が書くものって正直いって「面白くない」と思われてるかもしれない。PV が上がらないかもしれない。でも、面白おかしく見世物エンタメ路線に走ったら、そこで大事なものを失うんじゃないかと思っていてですね。
よくよく考えると、人と人とのドロドロ話にフォーカスしてしまうのって、新聞社の社会部・政治部マインドに近いものがあるんじゃないかという気もする。
「へ ?」といわれるかもしれないけれど。実際、(ことに科学分野の) ノーベル賞受賞なんかあると、研究そのものの話よりも「人間ドラマ」にフォーカスしてしまうニュースの作り方があるわけで。それに通じるものがなあい ? と思ってしまった次第。
「ばかもん、そこで難しそうな研究の話を分かりやすく説明するのがメディアの仕事だろ」と思ってしまうのはおかしいんですかね。
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