取材メモ 6 : KDDI 茨城衛星通信センター
 

所在地 : 茨城県高萩市
訪問日 : 2003/8/24


衛星通信を利用するなら、地上に基地局 (地上局。地球局ともいう) が必要になるのは自明の理。だけど、こちらのサイトを見るまで、公開されていて見学可能な衛星通信基地局があるとは知らなかった。幸い、茨城ならそれほど遠くないので、クルマをころがして出かけてみた。
ちなみに、平日だけでなく、日曜日でも見学できる。といっても、自分が訪ねたときには、他に誰も来ていなかった。

KDDI 茨城衛星通信センターは、日立市より少し北方の高萩市にある。それなら、クルマで出かける場合の最寄は高萩インターかというと、さにあらず。高萩インターで出ると衛星通信センターよりはるか北まで行ってしまうので、高速を降りてから逆行することになって無駄が多い (でも、ナビが指示したのはそのルートなんだよなあ…)。ひとつ手前の日立北 IC で降りて、出口のすぐ先にある細い下道を通ると近いことが判ったので、そのルートを使った。

日立北 IC から衛星通信センターまでの最短ルート by Navin'you

ところが、表玄関は高萩からのルートとみえて、この知られざる「裏口ルート」は、いろいろと罠があった。まず厄介なのが「川尻駅西」の交差点で、左折したと思ったら、すぐに今度は右折しなければならない。もっと難しいのが日立北 IC に向かう帰路で、最初に曲がる先を間違えると、全然違う方向に連れて行かれてしまう。御用心。
次の関門が、高萩工業高校の前で衛星通信センターに入る道の分岐。案内看板が出ているのは高萩方面から来た場合だけなので、反対側からアプローチしたら、曲がる場所が判らなくて通り過ぎてしまった (爆)。学校が道路から少し引っ込んでいて、「ここに学校がある」と判らなかったのが敗因のひとつ。結局、しばらく行き過ぎてから U ターンして、今度は正しくアプローチできた。

日立北 IC からアプローチした場合、曲がる場所に注意 !

ちなみに、茨城以外に山口県にも地上局があるが、地上局の適地を探すには、電波状態に関連するもの以外にも「地震が少ない」とか「台風が少ない」なんてことまで考慮しなければならないそうだ。電波傍受施設を設置する適地を探す、NSA の苦労が伺える (なんのこっちゃ)。

入口では、守衛所にある用紙に住所・氏名などを記載すると、中に入れてもらえる。クルマの場合、「KDDI」と書かれた札をダッシュボードに置いておくようにいわれる。
その状態で少し奥に進むと「衛星通信館」があり、その前が駐車場になっている。「衛星通信館」には海底ケーブルや衛星通信に関する資料が展示してあるが、至ってこぢんまりしたもの。見学者が立ち入れるのは、その「衛星通信館」の先までで、実際に稼動中のアンテナが設置されているエリアはオフリミット。そりゃそうだ。

ここに設置されているアンテナは、現在は第 4 アンテナと第 5 アンテナの 2 基。すでに撤去されているが、過去には第 3 アンテナが守衛所があるあたりの南側に設置されていたそうだ。いずれも直径が 30m ぐらいある巨大なアンテナで、最初は「どうやって組み立てたんだ ?」と思った。「衛星通信館」にあったパネルによると、パラボラを複数のパーツに分解した状態で持ち込んで、台座から順番に、少しずつ組み立てていくらしい。なかなか面倒そうだ。

↓は、手前側 (東側) にある第 5 アンテナ。写真だと分からないけど、近くで見るとデカい !
第 5 アンテナ。近くで見るとデカい !

下の写真は「衛星通信館」に展示されていたもので、現在は撤去されている第 3 アンテナが右端に写っている。守衛所があるのは、ちょうどその上の辺りになる。
昔の空中写真

最近は海底光ファイバーの活躍が目立っているが、電波さえ届けば (基本的には) どこでも利用できる衛星通信も、そう捨てたものではない。
ただ、意外と知られていないことだが、赤道上に配置されている静止衛星を通信衛星にすると、必ずしも地球の全域をカバーできるとは限らない。実は、北極点や南極点に近い極地では、衛星に対する仰角が低くなり過ぎるため、静止衛星による衛星通信は難しいのだそうだ。NSA が北極の近くに傍受基地を設置した際には、傍受したソ聯軍の通信データを衛星経由で送ることができず、地表波で南方の中継基地にデータを送った後、それをフォート・ミードに転送させていたとの由。

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