Opinion : 続・空自のマルチロール戦闘機に関する与太話 (2004/12/27)
 

前の記事を書いた後で次期中期防の内容が決まり、新型戦闘機を 7 機調達することになったそうだ。

私見としては、もう本命は F-35A で決まりでしょう、と思っていたのだが、次期中期防というと 2005-2009 年。本家の米軍からして、F-35 の配備が本格化するのは 2010 年代、英語圏でいうところの "next decade" の話だから、どう逆立ちしても次期中期防には間に合わない。
かといって、F/A-22A はいろいろな意味で導入のハードルが高すぎるし、もしも奇跡的にライセンス生産を認めてもらえたとしても、今からアメリカ側と話をつけてライセンス生産の手配をやって問題点をクリアして… なんてやっていたら、次期中期防が終わってしまう。では、いったいどういうことになるのだろうか。

本論と全然関係ない話だけれども、JDW の記事を日本語にするときに苦労させられる表現の一つが、この "decade" という言葉。うまい具合に対応する日本語がないので、いつも苦労している。英語なら "next decade" とかいう具合に一言で済む文面が、日本語にすると、えらく回りくどくなってしまう。


完成機輸入でも、発注してから納入までには時間がかかるし、ライセンス生産なら国内に生産ラインを立ち上げなければならないから、もっと時間がかかる。F-15J のときでも、ライセンス生産の契約締結から初号機納入までに 3 年かそこらかかっているわけで、昨今の戦闘機なら、もっと時間がかかるかもしれない (機種や内容にもよるけれど)。

となると、現時点で開発中の機体は全部却下ということになる。ヨーロッパ機ならすでに量産が始まっている機体が多いが、以前の記事で書いたように、"米空軍仕様の空軍" である航空自衛隊にとっては、勝手が違いそうな機体が多い。それに、兵装の体系が全然違うのもネックだから、ヨーロッパ機に出る幕はないだろう。

そうなると、F-16C/D ブロック 50/60、F-15E、F/A-18E/F あたりしか選択肢が残らない。ただ、F-2 にケチがついた理由を考えると、いまさら F-16 でもなかろうということで、実質的にストライクイーグルかスーパーホーネットの一騎打ち、ということになる。それなら、スーパーホーネットしかあるまい。

大石英司さんと違って、私はスーパーホーネットが飛んでいるのをライブで見ていないから、飛行性について云々するのは遠慮する。ただ、すでに米海軍向けに生産が進んでいる機体だし、そのおかげで実績も初期トラブルのいぶり出しも済んでいて、ある程度、"枯れた" 状態で入手できる利点がある。つまり、導入に際してドタバタさせられる可能性が低い。しかも、中身の世代は間違いなく、ストライクイーグルより進んでいる。

それに、よくしたもので、厚木の CVW-5 にもスーパーホーネットがウジャウジャいるから、日米相互運用性の観点から見ても悪い選択肢ではなさそうだ。運用に際して何か問題が出ても、近所の米海軍に声をかけて訊くことができる可能性がある。
ヨーロッパ機やロシア機では、こうはいかない。アジア界隈でヨーロッパ機を使っている空軍というと、台湾にミラージュ 2000 があるぐらいだ。いや、そのうちフランスが、中国にラファールを売りつけようとするかもしれないけれど。

ただ、エンジンもレーダーも新顔になるので、これからずっとスーパーホーネットで行くというならともかく、つなぎとして導入するだけだと無駄が多い。ステルス性を強く求めないのなら、JSF を諦めてスーパーホーネットで行くのもひとつの見識だけれど、ステルス機が欲しければ、選択肢は F-35 しかない。だからこそ、F-35 計画にレベル 4 パートナーとして参加する検討が始まっているのだろう。導入する気もないのに検討するか。

となると、将来的に F-35 でいくのであれば、ここでスーパーホーネットを少数だけ導入するのは効率がわるい。よって、前に書いたように、スーパーホーネットについては暫定的なつなぎの機体として、購入ではなくリースにする、というのもひとつの考えではなかろうか。ずっとスーパーホーネットで行くなら購入すればいいけれども、将来的には F-35 でいく、という空気が見え隠れしてきているのだから。

ただ、リースでも何でも、搭乗員や整備要員の教育は新規に必要だから、それなりに無駄が出てしまう。こんなとき、民間機なら乗員付きでウェットリースするという手があるのだが、米海軍からパイロット付きでスーパーホーネットを借りる… 無駄は少なくなるけれど、まさか軍用機をウェットリースするわけにもいくまい。それでは傭兵か、はたまた外人部隊の世界になってしまう。法的にも政治的にも紛糾の種になるので、却下。


多分、「次期中期防で新戦闘機の調達決定 !」ということで盛り上がっている人はたくさんいると思うけれど、趣味的な話を抜きにして現実的に考えると、(いつも書いていることだけれど) あまり夢のある話にはなりそうにない。時期が明確になったことで、前の与太話を書いたときよりも、選択肢が大幅に狭まってしまった。

年末年始だし、多少は夢のある景気のいい話も書いてみたいものだが、あまり妄想の度が過ぎてもいかがなものかと思う。だから、個人的見解としては「本命 F/A-18E/F、対抗 F-15E、穴馬はなし」ということにしておきたい。ホーネットに日の丸って、なんだかしっくり来ないような気がするのだけど…

あーあ、面白くないの。だいたい、F/A-18 ホーネットは FS-X 計画でも俎上にのぼり、そしてボツになった機体なのに、それがいまさら蒸し返されるなんて。


追伸 :
今年はこれで最後です。御愛読いただき、ありがとうございました。来週は正月なのでお休みをいただき、次回は 1/10 の更新予定です。

Contents
HOME
Works
Diary
PC Diary
Defence News
Opinion
Ski
About


| 記事一覧に戻る |