Opinion : "反対" するにもやり方がある (2006/10/30)
 

思い起こせば、民主党に関して「こりゃダメだ」と思ったのは、例の新潟中越地震における「いま必要なのは政権交代ではないか」発言だった。

「反省だけならサルでもできる」というくらいだし、この件で批判されて少しは反省したかと思ったら、さにあらず。相変わらず、与党のあら探ししかできない。最近では、例の高校履修問題について徹底追求するという話があって、また脱力させられた。それって現政権の問題なのか ? 叩けるネタなら何でもよかったということか ?

とどのつまり、民主党は「反対の仕方を知らない」としかいいようがない。これでは万年野党決定だ。社会党/社民党がどうして没落したのか、真剣に研究してみた方がいいのでは。


いろいろな立場の人がいて、利害関係が対立する場合が多い以上、ことに政治の世界では、全員がひとつの意見でまとまるということはない。逆に、日本国民一億二千万 (で合ってたっけ ?) が一糸乱れず、同じ意見でまとまってしまったら、それはそれで気持ちが悪い。

だから、何をするにも反対意見というのは出てくるし、以前にも書いたように、反対意見の存在がベターな解答に近付く役にも立つ一面もある。といっても、それは反対意見がまっとうなものなら、という条件付き。現実には、「反対の仕方を (知らない | 間違えている) のではないか ?」としか思えない話ばかりが目につく。

そうでなかったら、祖父の話を持ち出して安倍総理の資質に疑義を呈する、なんていうスットコドッコイな真似を民主党が大真面目にやれるとは思えない。御先祖様に何かあったら末代までその影響を受ける、なんてことになったら、そもそもあなたのところは大丈夫なんですか、鳩山さん。

まともに反対、あるいは反論するのであれば、現実的な (これ重要) 対案を出すとか、問題点を指摘してベターな回答に近付けていくとか、それなりにやり方というものがあるはず。ところが現実は、単なるあら探し、世間的に受け入れられやすいネタを使った攻撃、といったものに偏重している。民主党があまりにも目立つけれど、他所でも似たような話はたくさんある。

たとえば、「○○反対運動」の類が、往々にしてすぐに「環境問題」を理由に持ち出すのもそれ。なるほど、「環境」をネタにすれば世間的に受け入れられやすいという計算があるのかもしれないけれども、この罠に落ちると、虚構の騒音被害をあげつらった小田急高架化反対運動みたいなことになってしまう。

いわゆる反戦平和運動にしてもしかり。運動の対象が著しく偏っているという話は、以前から当サイトでも何度となく指摘してきたけれど、さらに食いつくネタまで偏っていて、最近だと「白燐弾」「劣化ウラン弾」「クラスター爆弾」の三連コンボ。しかも、事実を淡々と指摘するならまだしも、あること無いこと書き立てて煽る煽る煽る。

白燐弾騒動では、どう見ても事実に反するとしか思えないデマゴーグが飛び交い、とんでもない超兵器に仕立て上げられてしまった。しかも、蓋を開けてみたら「摂氏と華氏を間違えていたらしい」なんていうオチまで付く始末。
とどめは、「化学反応を起こすんだから白燐弾は化学兵器だ」という超理論の登場。そんなこといったら、燃焼して熱を発するものは何でも化学兵器になっちゃうだろうと。「化学兵器」という言葉は非難の文句としてキャッチーだからこじつけたかったのだろうけれど、本来の意味を著しく曲解したところで平和を実現する役には立つまいに。

クラスター爆弾にしてもしかり。厳密な意味でのクラスター爆弾とは航空機搭載用の兵装で、かつサブミュニッション (子爆弾) を散布するものに限られるけれども、世間的にはサブミュニッションを撒くものなら何でもクラスター爆弾といっている。実際には、その中の多くが MLRS や ATACMS などのロケット兵器だったりするわけだけれど。
(こうやって突っ込むと、「それは軍ヲタの自己満足。世間的に分かりやすく説明する方が大事」と反論されそうだけれど、だからといって、事実を歪めていいわけでも無かろうに)

さらに、「イスラエル軍がクラスター爆弾を使った」「イスラエル軍が白燐弾を使った」と非難している割には、こういう話はスルーしていたりする。つまり、非難したいのはイスラエル軍だけで、Hizbullah は正義の味方ですかそうですか。(もっとも、HRW の記事にしても地対地ロケットをクラスター爆弾呼ばわりしている点はどうかと思うけれど)

むしろ、一般的知名度は極端に低いけれども、サーモバリック弾についてはどうなのさ、と突っ込んでみたかったりする。市街戦だけでなく、特にアフガニスタンみたいな洞窟掃討戦では使用される機会が少なくないはずだけれども、サーモバリック弾について、例の三連コンボと同等のレベルで非難している人は、ほとんど見かけない。なんだそりゃ。(サーモバリック弾は中国やロシアでも使っているからスルー ?)

しまいには、何でもかんでも手当たり次第に「残虐兵器」といって非難しているけれども、それをいうなら、もっとも残虐なのは人間そのものだと思うのだけれど。


民主党にしてもその他の人々にしても、まっとうな「反対」「反論」の仕方を知らないから、自分たちの主張に対する反対や反論が出てきたときに、正面から論破しないで感情論に逃げたり、レッテル貼りで済ませようとしたり、あら探しに終始したり、反対意見封じをやったりする。

以前に指摘した「防備を固めまくっている無防備宣言 blog」が典型例だし、それ以外でも、俗にサヨクと呼ばれる人ほど、理詰めの反対・反論に弱く、逆ギレしやすい傾向があるように感じられる。正しい反対の仕方、正しい論戦の仕方を知らないから、真正面から受けて立つことができないんだろうか。普段「話し合いで解決を」と主張しているのだろうから、blog の炎上なんぞ怖れずに、とことん話し合いで対応してみせれば評価が上がるだろうに…
(ぷち炎上しただけで、コメント・トラバ全削除を断行した貴女も似たようなものだ > 酒井某氏)

それゆえに、「共謀罪ができると自由にモノをいえなくなるから反対」といって、口にテープを貼ってデモをやっている人がいても、「それより先に、自分たちが反対意見封じをやって、自由にモノのいえない社会を作ろうとしてるんじゃないの ?」と突っ込んでみたくなる。

あまり子供のうちからこういうことをやるのもどうかと思うから、多分、大学になってからでイイと思うけれども、論戦のやり方を実地に鍛えるような機会が、もっとあってもいいんじゃないだろうか。何かひとつテーマを決めて、それに対する対立見解を双方の当事者に無作為にアサイン、下調べと論戦をやらせてみるというわけ。

ただし、そこで重要なのは勝ち負けではないので、お間違いの無きよう。そもそも、ディベートのネタにそぐわないテーマはいろいろあるし、世の中、唯一絶対の正解がないネタなんて掃いて捨てるほどある。大事なのは、あるテーマに対していろいろな見方からデータを集める、対立する立場から論旨を点検して突っ込まれないように補強する、逆ギレしないでとことん論戦をやる、といったことを実地に鍛え上げること。

戦闘機で空中戦をやる、艦艇で海戦をやる、といった場面では、こちらの長所を最大限に発揮して、弱点を突かれないように工夫をする。物事を論じるのも同じで、強いと思える論点を押し出して、弱いと思われる論点を突かれないように工夫をする。こういうのは実際に場数を踏まないと、なかなか身に付かないわけで。

それができれば、今の民主党みたいな醜態をさらす事態も、少しは減るんじゃないのかなあ。なんてことを考えてみた。

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