Opinion : 普天間代替基地問題をめぐるあべこべ (2010/3/8)
 

信頼されるということ」の続編みたいな形で、普天間代替基地問題について。

相変わらず、いろいろな人がいろいろなところでいろいろな「代替候補地」をブチ上げてみては、地元から反対の声が上がるということの繰り返し。観測気球を上げてみては割られてばかり、しかも閣内不一致ぶりをさらけ出して、それでいて「5 月までに決着しないと日米関係に問題が」とか「trust me」も何もないもんだろうと。

ときには、ボトムアップ式に物事を運んだ方がうまくいくこともあるけれども、この件については国家の安全保障戦略に直結する問題なのだから、ボトムアップじゃダメでしょ。


「代替地は○○でどうだ」という類の話を傍から眺めていると、とりあえず飛行場や演習場がある場所を手当たり次第にリストアップしているだけ、というように見える。本当は違う、というのであれば、そう思わせるだけの根拠を行動で示さないと。

そもそも、これは日本の安全保障のみならず、アジア太平洋地域のパワーバランスにも関わる問題。そして、どこに結論を持って行くにしても、必ず誰か納得しない人は出るのだから、この件で全員を納得させられるような結論を出そうとしているのであれば、5 月どころか、5 年経ったところで無限ループだと思う。

民主党政権の関係者が本気で「日米関係が重要」と考えているのであれば、まずはトップダウン式に「アメリカの世界戦略はこうだ」「日本の周辺における安全保障環境はこうだ」という話から始めて、そこから

「かかる状況の中で、日本が自国の安全を確保していくためには、我々はこうしたいと考える」
↓↓↓
「それのためには、日米同盟をかくかくしかじかと位置付ける」
↓↓↓
「それを具現化する手段として、在日米軍の戦力組成や配置をこうする必要がある」
↓↓↓
「その結果として、普天間代替基地は○○とするのが妥当である」

という流れで、グランドデザインから落とし込む形で結論をまとめる必要があるんじゃないかと。それができないということは、日米安保体制なんぞ放逐してもいい、日本やアジア太平洋地域の安全保障について何も考えていない、それが民主党である、と思われても言い訳できない。

そもそも、政権の中に「隙あらば日米安保体制を御破算にしたい」と思っていそうな獅子身中の虫がいる有様なのだから、なおのこと「日米安保体制を堅持するという前提での代替基地探し」という前提を明確にしないと、ワシントンから信頼なんてされっこない。それに、アジア太平洋諸国に対して間違ったシグナルを送る結果になれば、日米間のみならず、地域全体の問題につながる。

もちろん、先にも書いたように、絶対に納得しない人は出てくる。それに対しては、以前にも書いたように、上述したような流れの中で出した結論の枠を壊さないようにしつつ、できる限りのフォロー策を考えると。そうでもしないと、いつになっても落としどころなんて見つからないのでは。

現実問題として、「候補地を○○にしたい」と口にする人はいても、それが日本の、そしてアメリカの安全保障戦略に照らしてどういう意味があるのか、アジア太平洋地域の安全保障環境に対してどういう影響をもたらすのか、というところまで語っている人が、一体どれだけいるだろう ? そこまで考えた上で候補を提示しているということなら、ちっとは真に受けてもらえるかも知れないけれど。


「沖縄に基地が集中して負担になっている」仰せの通り、その通り。その負担を軽減したいという言い分は分かる。でも、他方にも別の当事者がいて、そっちにはそっちの思惑もある。外交とか交渉とかいうのは、常にそういうもの。

だから、こちら側の言い分だけ一方的にまくし立てて通る話でもない。両方の言い分をテーブルに乗せて、最大公約数になるような落としどころを捜さないといけない。それが分かっていて、なんとか解決策を見つけ出そうという態度を示してこそ、初めて「trust me」という言葉を口にできるのでは ?

自分とこの都合だけ考えて、観測気球を上げては反対されるパターンの繰り返し、そんな相手を見て信頼できると思うのかと。自分達が逆の立場に立たされたときにどう感じるかも、少しは考えてみた方がいいと思う。

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