Opinion : 情報保全のために必要なこと (2021/2/8)
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2 週間前に、特殊作戦部隊の秘密保全に絡めて「民軍関係」という話を書いた。
もちろん、何でもかんでもオープンにするのはあり得ないにしても、逆に何でもかんでも「とりあえず秘密にしておけ」でいいのか。そんなことはないだろう。そこで、なぜ「そんなことはない」と思ったのか。そんな話を。
個人でも企業でもお役所でもその他の団体でも、程度の差はあれ「おおっぴらにしたくない情報」はある。
分かりやすいところで個人レベルだと、たとえば住所・氏名・電話番号の情報がおおっぴらにされた場合、欲しくもないダイレクトメールがドカスカ送られてきたり、仕事している最中に宣伝電話がかかってきて邪魔をされたり、といった具合に、好ましからざる事態が起きる。
これを書いたちょっと前に、札幌の市外局番を持つ電話番号から「リサイクル業者の宣伝電話」がかかってきて、むかっ腹を立てた。もっともこういうのは、連番で手当たり次第に電話をかけているのかも知れないけれど。
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もっとクリティカルなところだと、銀行口座やクレジットカードの番号。この辺は経済的被害に直結する可能性があるので、ほいほい公開するわけにはいかない。これは誰でも (?) 分かる。
昨今、「緊急事態宣言」のせいで、おおっぴらに遠出をするのは憚られる部分がある。もちろん、感染防止対策を講じた上でという前提ではあるけれど、どうしても遠出したい用件があって遠出するのであれば、隠密裏に済ませる。これもひとつのリスク管理であるかも知れない。
とりあえず身近な事例を出してみたけれど、要は「この情報が外部に漏洩したときに、どういうリスクや被害につながるか」を考えることで、情報をおおっぴらにしても大丈夫かどうかの判断ができる」という話。
それと冒頭の話がどう関わってくるのか。事なかれ主義で「とりあえずマル秘にしておけ」、あるいは前例踏襲・前動続行で「前例や前任者と同じようにマル秘にしておけ」というような判断ばかりしていて大丈夫なの ? という話。
「なぜマル秘にするのか」を個別にちゃんと検討する。その情報が外部に出た場合に、どういうリスクや危険につながるのかをシミュレートする。深く考えない「とりあえずマル秘」ばかりやっていると、そういう能力や習慣を削いでしまうのではないかなぁ、という懸念があるんじゃないか。
実際、そういう判断をする能力がないと、「ジオタグ付きの写真をネットにアップしたせいで大騒動」なんてことが起きる (苦笑)
あと、可能な限り情報を公にするのは、納税者に対するひとつの説明責任ではあろう。
そういえば、USS Benfold (DDG-65) の入港取材で、米海軍の広報担当者と艦側は、公開と保全のバランスを考えて「画面がオフなら撮影可」という結論を出してくれた。そうやって妥協点を探ってくれると、こちらも納得しやすい。
特殊作戦部隊つながりだと、諸外国の先例、たとえばデルタや SAS がどんな情報なら公にするのを止めていないのか、どんな情報なら厳重に秘匿しているのか。それを調べることはひとつの参考になるはず。
ただしそこで重要なのは、たとえば「SAS がこの情報を伏せているから、それならうちも」じゃダメということ。「なぜ SAS がこの情報を伏せているか」まで考えないと。
ただまあ、諸外国と足並みを揃えた方が良い、という事例もある。たとえば、F-35 を運用している部隊の保全レベルが国によって違っていたら、あまり好ましい話とは思えない。こういうのはみんな同じにするのが良い。
そこで「独自に判断する」「よその事例も参考にしながら独自に判断する」「よそと足並みを揃える」のいずれにすべきかを判断するのも、また判断力のひとつ。そういう判断を下す能力もまた、自分の頭でちゃんと考えないと身につかないのでは。
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