Opinion : お粗末呼ばわりをする人の方がお粗末 (2009/4/6)
 

4 日に防衛省の「誤警報」騒ぎがあった後で、民主党や 朝鮮労働党日本支部 社民党の誰かさんがプッツンしていたらしい。他人の失敗にケチだけつけて、自分は責任を取らなくていい立場なんだから、野党というポジションは、実におめでたいものだと思う。

そういえば、誰かさんが「誤報で間違って迎撃していたら、先制攻撃になりかねない」って騒いでいたそうだけれど、ターゲットがいないと判明したミサイルは自爆させれば済むこと。先日の THAAD つるべ撃ち試射でも、2 発目はそうしている。
もしも日本から発射した SM-3 や PAC-3 が北朝鮮の国内に着弾して先制攻撃する羽目になったら、私は罰ゲームとして、メイド服を着て秋葉原の駅前 (社民党本部の前でもいいぞ) で踊ってあげよう :-)

その「誤報」の話を聞いて、私は「以前に、何か関係がありそうなことを書いてたなあ」と思って、過去記事を検索してみた。確認をサボったら、同じような趣旨の記事をまた書いてしまうところだったので、ちょっと冷や汗 (→ 問題の記事「精神論では事故は防げない」)

今回の件に限らず、「お粗末」とか「たるんでる」とかいって、精神論に落とし込もうとする人が後を絶たないのは、実に困ったもの。ブロゴスフィアでも、防衛省のことをここぞとばかりに貶しまくっている人がいるようだけれど、当然、そういう人は生まれてからこの方、お粗末な失敗なんて一度もしたことがないんだよね ?


なんて嫌味はこれぐらいにして。

第二次テポドン祭りに関する雑感」でも言及していたように、とにかく余裕時間が少ない弾道ミサイル防衛では、C4ISR (Command, Control, Communication, Computer and Intelligence) が最大の課題。飛来する弾道ミサイルに迎撃ミサイルをぶち当てるのは、まだテクノロジー次第というところがある分だけマシで、人間が介在する C4ISR の方が厄介。

図らずも、その分野に関する問題点が洗い出されたというだけで、誤報騒ぎには大きな意味があった。と断言したい。

「クロスチェックをサボったのがお粗末だ」とかいって罵倒している人がいるけれども、特に短射程の弾道ミサイルなんてのは、念を入れてクロスチェックしている間に飛来してしまう。かといって、クロスチェックを省略してしまったら、それはそれで問題がある。

そうなっってくるともう、人間の努力だけではどうにもならない話なので、さまざまなセンサーから入ってきた情報をまとめてデータ融合する技術、それによって得られた情報 (common operational picture) を関係者が迅速に共有する技術と体制作り、といったところに力を入れるのが筋というもの。

特に射程が長い弾道ミサイルになるほど、広い範囲にさまざまなセンサーが散在する上に、さらにそれとは別に指揮所や迎撃ミサイルなどを展開させることになる。それらがちゃんと連携して動作して、初めて弾道ミサイル防衛システムが成立する。その難しさと比べれば、"ピストルの弾をピストルで要撃する" 方が、まだしも簡単だと思うよ ?

実際、米ミサイル防衛局 (MDA : Missile Defense Agency) ではテストの一環として、ネットワーク化した複数のセンサーと指揮管制システム (C2BMC : Command, Control, Battle Management, and Communications) を連携させるテストをやっている (2008 年 7 月に実施した FTX-03)。

もちろん、この手の機能を実現するには高性能のコンピュータとネットワーク、コンピュータで動作するソフトウェアが必要で、特にソフトウェアの熟成には手間がかかるはず。それならなおのこと、今回のテポドン祭りみたいなイベントを活用して、実地に動かしてみてバグ取りをするのが重要。何でもそうだけれど、実際に本番環境で使ってみて、初めて問題が露見することはあるのだから。

あー、今売りの「丸」に書いた記事を、そのままトレースしたようなことを書いちゃったなあ…

そんなことも理解できないで、単に政府、あるいは MD システムの悪口を言いたいがために「お粗末」とかなんとかいって罵倒するのは、誤報よりもずっと「お粗末」で「不見識」なこと。この手の人は、要撃がうまくいったらいったで、また何かネタを見つけてイチャモンをつけるのがオチなのだろうし。


もちろん、人間の側にも最善を求めて努力するべき、という話はある。ただ、それと同時に人間はミスを犯すこともあるという前提で、それをフォローできる仕組みを作ることも必要。たいていの「安全装置」とか「保安装置」とか「安全のための手順」とかいったものは、過去の教訓と犠牲を受けて、同じような失敗を繰り返さない目的で導入されたものが多いのだし。

たとえば、新幹線の ATC がフランスの TVM なんかと違って「機械優先」になっているのも、過去の経験を受けて、「こうするのが最善」という考えの下で決めたことなわけで。

それをサボって、人間に全責任をおっかぶせるようなことばかりしていると、また同じ失敗を繰り返すことになるのでは。そういう見地からすると、北朝鮮みたいな体制の国だと、ロケット/ミサイルの発射に失敗するような事態が発生したときに「責任者は強制収容所送り」なんて事態が発生していそうで気が滅入る。
(あ、でも今回の件は内向けには「成功した」ことになっているからいいのか。失敗を認めると内向きのメンツが立たないし、技術者や責任者を抹殺することになって、今後の開発に支障を来すことになるし)

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