Opinion : ほっとかれているホワイトバンド (2006/10/9)
 

昨年、いわゆるホワイトバンド・プロジェクトについて、批判記事を 4 本書いた。

このうち二番目の「ますますほっとけないホワイトバンド」で、最後にこんなことを書いた。

多分、キャンペーンが終わって 2006 年に入り、売上の使途が決まって実行、その後に会計報告が出てくる (はずの) 頃には、こんなキャンペーンがあったことは大半の人が忘れているのではないか。そして、家の片隅から白いイカリングが出てきて「はて、これって何だっけ ?」なんてことになりはしないか。

あれから 1 年あまりが経過したが、プロジェクト側の言い分と私の言い分と、どちらが正しかったのかは一目瞭然。


実は、キャンペーンというかプロジェクトというか、まだ継続している。問題は、継続しているということを誰も話題にしないこと。それでもちゃんと会計報告の更新を続けている事務局は、予想していたよりもちゃんとしているなと思ったけれど。(会計報告 PDF)

そもそも、400 万本以上売れたはずのホワイトバンドを身につけて歩いている人を見かけたのは、昨年から通しても、ほんの数回というのが個人的実情だったりする (ただし、東京タワーのライトアップイベントに潜入偵察に行ったときは別)。
単純に対人口比で計算すれば、30 人に 1 人分の数が出回ったのだから、山手線の電車が定員通りに乗車していれば 1 両に 3-4 人はホワイトバンドをつけた人が乗っていなければならない。さて現実はいかに。いまだにヤフオクにホワイトバンドを出品している人もいるが、ついた値段はせいぜい 500 円。

そして、なによりも呆れてしまうのが、例の「公式 blog」が 1 年あまり、放置プレイ状態を続けていること。
そもそも、当初はコメントもトラックバックも受け付ける状態になっていたものが、批判の高まりによって "ぷち炎上" 状態になり、コメント欄を封鎖した経緯がある。さらに、本サイトに FAQ のコーナーがあるにもかかわらず、さらに屋上屋を架すような「公開 Q&A」に看板を架け替えるという珍事が発生した。そして、この「公開 Q&A」は 3 エントリだけで頓挫。以後は絶賛放置プレイ中。

スタッフが個人的にやっている blog ならともかく、かりにも \131,500- の経費 (最新の会計報告による) を投じた "公式" blog が 1 年あまりも放置プレイ状態になっていて、しかもエロサイトからのトラックバックばかりが延々とあふれてペンペン草が生えている現状。これを見て、当事者は問題だと思わないのだろうか。繰り返すが、これは "公式" blog の話なのだ。ひょっとしたら、関係者は誰も公式 blog のことを見ていないんじゃないか。


去年からいっているように、そもそも地道で長期的な取り組みが必要な課題なのに、それを一過性のイベント、流行りものとして仕掛けた手法が間違っている。一応、キャンペーンの成果として日本政府が政策を改めて「ホワイトバンド側の主張」に沿った内容を打ち出しました、みたいなことはいっているけれども、時系列を検討すると、キャンペーン開始から政策表明までのタイムラグが短すぎて、影響力がどれほどあったか疑わしい。(参考 1 / 参考 2)

例の「東京タワーライトアップ」のイベントにしてもそう。新聞・TV に格好の「画」を提供するという意味では成果を挙げたけれども、政策面に対しての影響力については定かでない。(参考)
イベント経費として 1,300 万円あまりを投じているのは、例の会計報告で明らかになっている。だが、それがどれほどの効果に結びついたのか、という点についてはまことに疑問。

「大きなムーブメントを起こしたという成果」を誇っていた当事者に対して、かくのごとき現状について一体全体どう考えているのかと問いたい。結局のところ、一過性の流行で終わってしまっただけじゃないのかと。

少し前に話題になった「福島コピペ真贋騒動」のときに、福島社民党党首を擁護する側の人は「悪魔の証明」ということをしきりに主張していた。つまり、何かが「無い」ということを証明するのは極めて困難であり、「ある」と主張した側に立証責任があるのだと。この考え方を敷衍するならば、「ホワイトバンド・キャンペーンが大きな影響力を発揮した」と主張するのであれば、そう主張する側に立証責任があるんでないの ?

同じことは、例の「防衛産業陰謀論」にもいえる。防衛産業が儲けのために戦争を起こさせていると主張するなら、それが「ある」と主張する側に立証責任があることになる。単なる状況証拠とか人的つながりとかいう話じゃなくて、誰もが納得するような証拠能力のあるエビデンスを出すべき。
福島コピペのときには「悪魔の証明」を持ち出して、都合が悪くなるとダンマリというのでは、ちと調子が良すぎるわけで。

それでも懲りずに、今度は日比谷シティで「STAND UP」とかいうイベントをするんだそうだ。いわく。

2006 年 10 月 15 日、貧困撲滅とミレニアム開発目標 (MDGs) の達成のために立ち上がり、その参加者数でギネス公式世界記録を作り、貧困撲滅のメッセージを世界中に広めようというキャンペーンの一環として、ここ日本でも全世界で行われる「STAND UP」イベントを行います。

いや、だからさ。たくさんの人が立ち上がるイベントをやって、それがギネスブックに載ることと、そのことが貧困撲滅にどの程度の影響力をもたらすかということの因果関係が、あまりにも不透明なんだってば。
ついでに蒸し返しておけば、会計報告を最初に出した際に「啓蒙活動の一環として TV 番組を作って云々」という話があったと記憶しているのだけれど、その話ってどうなったのだろう。

ちなみに、「stand up」を辞書で引くと「立ち上がる」以外に「(モノが) 長もちする」「(理論などが) 検討に耐える、持ちこたえる、正しいとして受け入れられる」とある。が、「(異性との) デートをすっぽかす、待ちぼうけを食わせる」という意味もあるのはナイショだ。貧困に苦しんでいる人に待ちぼうけを食わせるのでなければいいけれど。
(Microsoft Bookshelf 3.0 収録の「New College English-Japanese Dictionary, 6th edition (C) Kenkyusha Ltd. 1967,1994,1998」による)

どうしてこう、ホワイトバンドプロジェクトは毎度のことながら、パッと目立つ一過性のイベントに走るのかと。そんなことやってるから、却って事後に盛り下がってスルーされるし、成果が上がらないんじゃないのかといいたい。

サニーサイドアップの次原社長は、「週刊文春」で紀藤弁護士と対談した際に「ひるまずに頑張ります。絶対に分かってくれる時が来るはずですから」と話していたけれども、かかる現状に対してどう考えているのか知りたいところ。
あと、ファミリーマートがホワイトバンドの販売を始めたときに「グッジョブ」と絶賛したあの人とか、「小泉首相はホワイトバンド・サミットに行くべきだ」と力説していたこの人とか。

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